ワールド・イズ・コンティニュー 瀬尾つかさ(富士見ファンタジア文庫)
生と死(コンティニュー)を繰り返し、異世界を攻略するバトルファンタジーストーリー。
大枠としては異世界召喚ものですね。クラス、スキル、レベル、と世界観がかなりゲーム的で
更には死んでも甦るというシステムが設置されているため、やや切迫感には欠ける感はありますが
肝心のゲームバランスが最悪ということもあり、攻略難易度の高さが酷いことになっています。
召喚された側の絶望や苦痛を考えれば、唯一の死ぬ方法「自壊死」の存在もいやらしいことこの上ないですし。
まあ、だからこそゲーマーならではの発想で攻略を進める主人公の活躍が光るわけですが…
ラストは困難な防衛線に勝利し、けれども戦いの日々は続いていくエンド。
ラブコメ的には大きな進展はないまま終了。主人公はヒロインの面倒を最後まで見る気はあるようですが…
主人公は付与魔法と弱体魔法に特化した錬金術師クラスのゲーム好き少年。
決断力に長けており、危険が待ち受けていようとも一度決めたら迷わない心の強さの持ち主。
合理的な考えを元に動くことが多いが、好意を向けてくる相手を無下にできない性格をしており
そのため、知らず知らずの内に相手に頭が上がらなくなってしまうこともしばしば。
色恋沙汰にはかなり鈍感だが、異性に興味がないわけではないため、急接近されると弱い。
ヒロインは魔法戦士な元姫、しっかり者のクラス委員。
一番のお気に入りは主人公と共に異世界フルシエラに召喚された同級生のクラス委員、風羽根由紀。
戦闘には参加しないが、他の転移者や現地民と交流しながら主人公のバックアップ態勢を整えている。
ボブカットの黒髪に、理性的な黒い瞳が気の強さと勝気さを窺わせる美少女。
冷静沈着で責任感が強いが、同時にたくましい性格をしており、過程よりも結果を重要視するタイプ。
そのためか、姑息な工作にかけては右に出るものはおらず、策略家で悪戯好きなところが強い。
評価はD。
死んでも甦る設定になっているとはいえ、死を繰り返すことを利用し、強敵に怯まず苦境を乗り越え
異世界攻略を目指す主人公の心の強さと振り切れたゲーマーっぷりが実に頼もしかったです。
チート能力を持っているわけではなく、かといって長い時間をかけた地道な努力一辺倒というわけでもなく
ゲーマーゆえの発想と合理的な思考から生まれた確固たる攻略スタイルは感嘆の一言でした。
そりゃあヒロインたちも身近な異性のこんな突き抜けた姿を見たら心を奪われちゃいますよね。
本筋は未だ攻略に必要な人材は集まりきらず、謎もやるべきことも多く残ったままでの完結と
典型的な「俺たちの戦いはこれからだ」打ち切りなため、かなり消化不良感が強かった印象。