妹=絶滅したのです   八奈川景晶(富士見ファンタジア文庫)



男→女の順番で子供が生まれなくなった世界を舞台にした、最後のお兄ちゃんと妹達の日常物語。
妹という存在を主題に置いた作品はいくつかありますが、この作品は世界観からして極端すぎである。
兄を求めて押しかけてくるヒロイン達は皆一人で十分生きていけるだけの超高スペックを有しており
だからこそ甘えられる相手(兄)が欲しい! というのは納得できる理由付けですし、萌え要素なのですが。
自身が求める姉にピッタリな女の子が妹志望という世の無常を感じる主人公には同情の一言なんですけどね。
ラブコメ面は二巻時点でヒロインの内二人が主人公への気持ちを兄への憧れから恋心へと変化させた模様。

主人公は世界で唯一の「妹のいるお兄ちゃん」である少年。
多忙な両親に代わって歳の離れた妹の面倒を見てきたため、面倒見が良く、甘えてくる誰かを邪険にできず
「応えてあげなきゃ」という意味不明な責任感に駆り立てられる習性があったりと、根っからのお兄ちゃん気質。
ゆえに、お兄ちゃんモードになると、相手が同年代の女の子であっても無頓着に甘やかしてしまうことも。
しかしその実、お姉ちゃん願望が異様に強く、自分を甘やかしてくれる姉への憧れが強かったりする。

ヒロインは最強の剣客義妹、巨大財閥総帥な義妹、王女な義妹、甘えん坊な実妹。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(二巻)においての評価はC。
深い裏事情やシリアスな展開はほぼ皆無に等しい、ドタバタな日常が主体になっている話ですね。
なので、妹属性の読者は肩の力を抜き何も考えずに妹たちとの賑やかな日常を羨ましく思いながら読むのが吉。
脅しを用いて妹になったり、お風呂に一緒に入ったり、添い寝したり、コスプレをしたり、スキンシップ過剰だったりと
「こんな妹はいねーよ!」と色々ツッコミどころは多いですが、気にしたら負けです。妹は最高なのです。
まあ、押しかけ妹たちは皆自分本位で主人公に強制ばかりしているのでコレジャナイ感も強いのですが…
そもそも、どのヒロインも掘り下げが不十分のまま動き回るので感情移入しにくいですし。
本筋は妹達を甘やかすドタバタ生活が続きつつも、徐々に自覚無き恋愛感情も芽生え始めていて…?