獅子皇と異端の戦巫女 朝凪シューヤ(ファミ通文庫)
世界に再び危機が迫る時、英雄となった少年が最強の美少女たちと共に再び世界を救う二度目の英雄譚。
かつて世界を救った少年の二周目な冒険物語ということで、一見すると難易度は高くないように見えますが
早すぎる復活を遂げようとしている災厄、消息を絶った元仲間たち、暗躍するテロ組織、異界の魔神など
マイナス要素だらけのハードモードでのスタートと、中々一筋縄ではいかない模様。
勿論、一度世界を救った英雄ならではの強さと格好良さも存分に発揮されはするんですけどね。
多少の弱体化はあるとはいえ、民衆からの尊敬や信頼は健在なので、余分なストレス要素もないですし。
ラブコメ面は主人公が英雄として世継ぎを二人以上残さないといけない義務があることを考えると
最終的に凪姫だらけのハーレムエンドを迎える可能性は高い?
主人公は五年前、僅か十一歳で「災禍の翠蛇」を倒し、世界を救った「獅子皇」と呼ばれる英雄。
黄金色の髪に蒼穹の瞳、そして、まるで少女のような鼻筋の通った端正な顔立ちを有しており
幼い頃からの修行で培ってきた剣技、精神力、戦術眼、観察力はどれも常人離れしている。
周囲からは冷徹で完璧主義者な獅子皇として恐れられているが、それは皆を導く象徴としての責務ゆえ。
本当は戦いを好まず、困っている人を見捨てられない優しい性格をしており
また、生真面目に考えすぎてしまう性質ゆえに、獅子皇としての自分と本当の自分との乖離に悩んでいる。
ヒロインは氷の凪姫、異界の魔神、元盗賊の凪姫、病弱な双子の妹。
一番のお気に入りは戦後唯一主人公の傍に居続けたクールな凪姫、メロフィーユ。
すらりとした肢体、好けるような白磁の肌、美しい銀の長髪の、涼やかな雰囲気がまるで雪か氷の妖精かと
思わせるような美少女で、その美貌は光芒五里に及ぶとも評されているほど。
かつては「至高の暗殺者」と謳われた暗殺者だったのだが、標的である主人公と心を通わせ、絆を育み
そして最終的には彼の説得によって戦巫女の一角となったという過去を持っている。
過去の経験から感情の抑制術に長けており、常に澄まし顔で冷静、冷徹に物事へ取り組むことが出来るのだが
主人公に近づく女性に嫉妬心を覚えたりと、内心は結構感情の起伏が激しいところも。
現時点(一巻)においての評価はC。
二周目の冒険、という点がやや変則的ではありますが、実に正統派な英雄譚に仕上がっている作品。
一度世界を救った英雄だけれど本当はメンタル弱めな主人公が自分の在り方を再確認して立ち上がる姿は
思わず応援したくなる魅力がありますし、そんな彼をすぐ傍で献身的に支える正義の女神と魔神という
正反対なダブルヒロインも、それぞれの立ち位置でシッカリと存在感を発揮していると思います。
本筋は一巻で二人目の凪姫を再度仲間に加えたものの、見つけるべき凪姫はまだ四人残っていますし
そもそもの問題の根本的解決はまだまだこれからと先は長そうな予感。