竜騎士から始める国造り いぬぶくろ(ファミ通文庫)
転生後の異世界で奴隷として生きてきた少年の、成りすまし&成り上がり興国記。
内容的には異世界転生、現代知識による内政チート、立身出世とよくある要素の組み合わせですが
主人公が貴族になりすました元奴隷、という点が適度なアクセントになっている感じです。
まあ、それを加味しても少々ご都合主義が強いというか、環境に恵まれすぎな感はあるんですけどね。
とはいえ、主人公は環境に驕らず貪欲に手柄を得ようとするタイプなので停滞を見せることはないのですが。
ラブコメ面は今のところ主人公にその気はないようですが、ヒロイン候補は複数いるようなので期待。
主人公は転生後の異世界で奴隷として生きていたが、ある時瀕死の貴族の少年ロベールを看取り
彼に成りすますことで侯爵の長男として竜騎士育成学校に入学することになった元日本人。
元のロベールが横暴な嫌われ者だったため、周囲からは腫れ物扱いされている。
前世では三十二歳まで生きていたこともあり、落ち着きがあって割り切った考え方もできるが
根は楽観的で享楽主義者。そのため、向上心の強さも相まって思い切った判断を下すことが多い。
ただ、その出自と経験ゆえに、他人に頼らず自分一人で何でもやろうとしてしまうところも。
ヒロインは大商会の娘、男爵家令嬢。
一番のお気に入りは帝国でも指折りの大商会であるマフェスト紹介の娘、アムニット・マフェスト。
タレ目で整った顔立ちをしており、年齢の割に胸が大きく、そのくせ腰は細いと将来性抜群の美少女だが
父が金で買った爵位持ちであることと、いつもモジモジオドオドと小動物的というか
おっとりとしていて鈍くさい雰囲気が強いため、周囲の貴族令嬢たちからいじめを受けている。
そのためか、自信なさげで一歩引いた態度をとることが多いが、その分懐いた相手にはとても献身的。
その一方で、商人の娘だけあって利に聡い一面も持ち合わせていたり、少々強情なところも。
現時点(二巻)においての評価はC。
メインになっている内政&戦争パートですが、数行で「上手くいった」とササッとすませてしまうのではなく
下準備の段階から結構丁寧に描かれているため、雑学的な意味でも面白く読むことが出来ます。
ひとつのことに掛かりっきりにならず、案もバンバン出てくるので飽きを感じることもないですし。
キャラに関しては、所々で楽観的ながらも野心にまっすぐでアクティブな主人公には好感が持てますし
ヒロインたちも、未だ幼いながらも良い女に成長しそうな素質が見て取れるので先が楽しみなところ。
本筋は「自分が安心できる場所(国)を作る」という目標に向かって順調に内政や戦争で功績を稼ぎ
知名度を上げ、人脈を増やすことで着々と地盤を固めている主人公ですが…?