乙女ゲーの攻略対象になりました...。   秋目人(電撃文庫)



ある日、自分が乙女ゲーの世界にいることに気がついた主人公の死亡ルート回避デスゲームラブコメ。
正に逆転の発想、普通のラノベが美少女を攻略していくギャルゲであると解釈するならばこの作品は逆。
女主人公が男キャラを攻略するという乙女ゲーを舞台にした上で、攻略される側を主役にしています。
ヒロインの数に関しても、プレイヤー(女主人公)のライバルキャラというポジションで複数登場。
と、周囲は男ばかり……みたいな男臭さもないので安心。
とはいえ、主人公以外にも攻略される男キャラはいるので、彼らが今後無駄に出張らないかは不安なところですが。

主人公は攻略されると高確率で自分の死亡ルートに踏み込んでしまうゲーム世界にいると気がついた高校生。
本来ならば攻略される=美少女に口説かれる、なので喜ぶところなのに、個別ルートが死亡エンド満載。
なので攻略される=ほぼ確実な死、という実に悲惨な運命を担っている。
横暴かつ完璧超人美人な姉がいるため、人生の教訓は「長いものには巻かれろ」「触らぬ神にたたりなし」
姉の影響で始めた武術はそれなりの腕。あと、長年姉の髪を手入れしてきたために、髪の手入れも上手い。
猫や犬が好きで、特に自宅で飼っている猫には限りない愛を注いでいる。でもあんまり報われていない。
また、重度の声フェチであり、他人の声の質を五段階にわけて評価していたりと凡人を自称する割に妙なところも。
ちなみに、最高評価であるレベル5の声を聞くと鼻血が出る体質。

ヒロインはゲームの女主人公、金髪高慢お嬢様、美声お嬢様、乙女ゲー好き後輩、男嫌いの後輩。
何気に姉の挙動も怪しかったり、他にもヒロインに昇格しそうな存在もチラホラ。
一番のお気に入りは黒髪ロングな清楚系お嬢様、法条紗綾。
由緒ある財閥の娘で、物腰もおしとやかと外見通りの大和撫子風美少女。
主人公判定で最大値であるレベル5の美声持ちで、実際主人公は一目惚れならぬ一声惚れをし、告白している。
ただしその際「付き合ってください」⇒「どこに?」とボケた返事をしているあたり、結構天然な性格をしている模様。
普段は本人の持つ高貴オーラから、会話をしようとする人間は少ないが、本人は喋ることは嫌いではないらしい。
和食が得意で機械操作が苦手。

現時点(二巻)においての評価はC。
世界観というか設定のユニークさで掴みはバッチリだと思います。
ただ、あまりにも主人公にシビアな状況過ぎて、素直に物語に没入できない部分も。
二巻で新たな制約も判明し、主人公の自由がどんどん狭められてるのは結構ストレスが溜まる罠。
設定上、どうしても踏み込んだ話(ヒロイン個別ルート)に持っていけないのももどかしさが募ります。
逆説的に、贔屓ヒロインが発生しないので、ハーレムスキーとしては痛し痒しですが。
まあ、そのあたりを軽い文体と主人公の明るさで上手く中和しているとは思いますが……
ところで、「騎士プ」さんは完結するまでにちゃんと登場してくれるのだろうか?