異世界作家生活   森田季節(ダッシュエックス文庫)



異世界で小説教室を開くことになった中堅小説家の、まったりスローライフストーリー。
ライトノベル作家を取り上げた作品は最近よく見かけるようになりましたが、それを異世界で
というのは珍しいというか、設定がぶっ飛び過ぎていてツカミは抜群ですね。
まあ、内容そのものは日常系、あるいはボケツッコミトーク系の色が濃い感じですが。
勿論、ラノベの書き方を講義する場面もありますが、これは技術面より精神面重視っぽい?
ラブコメ面は今のところ描写薄め。主人公に好意を持つヒロインはいるようですが…
というか、メインヒロインであるシーナが一番ヒロインムーブしてないってどうなんだw

主人公は異世界から来た女騎士シーナに頼まれて、異世界で小説教室を開くことになった中堅小説家。
作家がほぼいない異世界なら楽勝で最強の作家になれる! という野望を抱いている。
功名心が強く、成功者に対して嫉妬深い。そして、褒め言葉に弱いなど、典型的な小物キャラで
学生時代に友達(彼女も)のいないぼっちだったという負の感情が文を書くエネルギーになっている。
なお、友達がいなくともコミュニケーション能力には問題はなく、生徒に対する責任感や思いやりは
普通以上にあったりと、何気に教師としての適正は高い模様。

ヒロインはオタクな女騎士、ツンデレドワーフ、中二病貴族令嬢、ロリババア魔道士、同期の売れっ子作家。
あと、エルフのイラストレーターさんあたりが加入候補っぽい?
一番のお気に入りはプロのラノベ作家に過剰な憧れを抱く法務官の娘、ユサ・ミヤケルカ。
長い黒髪が似合う、けしらかん巨乳を持つ十五歳の美少女で、お嬢様らしく「ですわ」口調で喋る。
おしとやかで温厚な性格をしているが、思い込みが強く、事実誤認をしやすい、上中二病を患っていたりと
主人公の教え子の中ではある意味一番の問題児。

現時点(一巻)においての評価はC。
生徒達との日常的交流パートの多さや、ちょこちょこ出てくるパロネタの効果もあって読みやすさは抜群。
ファンタジーらしいトラブルが起きることはあれど、あくまでコメディの味付け扱いですし
少しだけあるシリアス要素も後を引く重さはないのでストレスフリーな読み味を楽しめます。
キャラに関しては、小物思考で、しかし教師としてはそれなりに真面目な主人公がゆるゆるな世界観に
上手くマッチしているかと。ヒロインたちも皆個性的で印象に残りやすいですしね。
本筋はこれといった達成目標もないこともあり、基本的には日常話がだらだらと続きそう?