造られしイノチとキレイなセカイ 緋月薙(HJ文庫)
教皇や騎士団長、町の人々も巻き込んで、嫁と娘と一緒に世界を満喫する「家族」のほんわかスローライフ。
大雑把に言えば、ファンタジー世界で拾った幼女を幼なじみと一緒に育てる擬似家族物語です。
基本的には描写は日常重視になっていますが、主要キャラの大半が指折りの実力を持っていることもあり
剣と魔法を軸にした、様々な敵とのバトル展開もちゃんと用意されています。
ラストは諸々の問題を解決し、そしてキレイな世界に新たにイノチが生まれて―――エンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのフィアナを結婚式を挙げて終了。なお、その時点で子供もできていた模様。
主人公は信仰を元にした魔法を使う人々が暮らすトリティス教国でも有数の実力を持つ聖殿騎士。
普段は落ち着いた雰囲気を持つ温厚な性格の好青年だが、身内の危機には圧倒的な力を見せる。
文武両道の高スペックな上、容姿や性格も良く、意識せずにタラシな言動をとることが多いため
知らず知らずのうちに女性に好かれてしまうことも珍しくないのだが、周りにも化物が多かったせいで
自己評価は低くなりがちで、そのこともあってか肝心の色恋沙汰には超がつくレベルで鈍感。
ヒロインは義娘なホムンクルス、幼なじみな精霊術師。
一番のお気に入りは優上級精霊術師の冒険者という肩書きを持つ幼なじみ、フィアナ。
腰まで伸ばした栗色のストレートヘアーに、ややツリ目な翡翠色の瞳を持つ美少女。
普段は勝気ながらも割と澄ました感じで少し悪戯好きな面もあったりと、猫的な落ち着きを持った性格だが
実は結構照れ屋でからかいに弱く、そのせいでずっと想い人である主人公に好意を伝えられないでいる。
評価はD。
主人公一家以外の周囲も暖かな人たちばかりで悪人は少数な、国そのものが大家族っぽい世界観なので
変にストレスを感じることなく、安心してほのぼのとした物語を読み進めることが出来ました。
偶然から一緒に暮らすことになった主人公たちが家族として絆を深めていく過程はほっこりできましたし
朴念仁な主人公とそんな彼にヤキモキするヒロインという構図もラブコメ的にニヤニヤできていい感じだったかと。
まあ、毎度大事件が起こりながらも、最後までアッサリ風味に解決ばかりというのは拍子抜けでしたが…
本筋は敵対者を除き、主人公を取り巻く全ての人々が幸せになっての大団円と文句なしの終わり方だった印象。