アキハバラヴァンパイアナイト   七位連一(MF文庫J)



ある日突然、吸血鬼のオタク兄妹にホームステイされることになった少年の苦労物語。
ラブコメあり、ネタあり、バトルあり、シリアスありとごった煮な雰囲気が漂っています。
カオス感溢れる雰囲気が楽しいのですが、正直バトル要素はいらない気も。
メインに使われるわけではなく、騒動の締めにサラッと使われる程度ですが、なんか雰囲気に合わないんですよね。
そもそも主人公が普通の一般人なため、全く役に立たないですし。
まあ、吸血鬼やその対抗組織がある世界だから、仕方ないといえばそうなんでしょうが…
あと、どう見ても巻き込まれて迷惑かけられているだけの主人公がお人よしすぎるだろと思わないでもない。

主人公は突如現れた吸血鬼兄妹に振り回される羽目になった高校生。
一般人として過ごしているが、実はハーフヴァンパイアであり、普通の人間よりも優れた回復力を持っている。
とはいえ、あくまで普通よりもという程度な上に、他に特徴はない。学力や身体能力も普通レベル。
基本的に飽きっぽく、特に趣味もなければ夢もない。極普通ののほほん生活を営む少年。
口ではブツクサ文句を言いながらも、基本的に面倒見がよく、最後まで付き合ってしまう損な性格をしている。
吸血鬼兄妹がやってくるまで一人暮らし同然だったため、家事全般は一通りできる模様。
多分保父さんとか向いてると思う。

ヒロインは金髪吸血鬼、始末屋な幼馴染、ロリっ娘隊長。
イラストの影響があるにしても、見事にロリばかりだったりする。年齢的には同い年以上なのに。
一番のお気に入りは隠れてない隠れオタクな吸血鬼美少女、シンクレア=シルヴァスタイン。
吸血鬼としての誇りが強く、よく兄のオタクフリーダムさを咎めるものの、実は自分もオタク。
本人は隠しているつもりだが、兄よりもディープな知識を持っていたりその界隈では有名なコスプレイヤーだったりする。
素直かつ純真な性格。物腰穏やかで礼儀正しい良い子なのだが、人見知りが激しいところも。
親しい人には結構容赦ないところもあり、特に好意を抱いている主人公に対してはヤキモチを焼くこともあったり。
何故かトマトジュースで酔っ払う。

現時点(一巻)においての評価はB。
いらない気がするバトル部分がややマイナス点ではあるものの、他の部分は文句なく面白いと思います。
オタク要素をとりあげる作品は最近多いですが、その中でも一味違う印象を受けます。
吸血鬼とオタク、というミスマッチな組み合わせが意外な魅力を発揮している感じですね。
ただこの作品、最終的な着地点はどうするつもりなんだろうか?