最強喰いのダークヒーロー   望公太(GA文庫)



最弱の男が最悪の頭脳で頂点へ。常識を嘲笑う悪党が魅せる、カタルシス満点の痛快大物喰い物語。
間違いなくスペック最弱な主人公が、ただ自分のためだけに手段を選ばずに敵を倒していく。
正にあらゆる学園異能バトルラノベへのアンチテーゼになっている作品だと言えますね。
だがそれが問答無用で面白い! 弱さを補うために一切妥協しないその姿は痛快にして最高ですし
どこからどう見ても主人公のほうが悪党なのに、迷わず応援したくなってしまう魅力があります。
ラブコメ面は主人公がどう見ても恋愛をするようなキャラではないのが難点ですが…?

主人公は悪魔的な策略と詐欺で平和ボケした最強共を容赦なく喰らい尽くしていく最弱の無名選手。
色素という色素が抜け落ちてしまったかのような白い長髪が特徴的な少年で、性格はふてぶてしく尊大。
自身の素の実力に対しては自虐的ではあるものの、常に不敵な笑みと態度を崩さない。
悪魔的な計算高さと用意周到さ、卓越した人間観察眼、己の命すら勝負に使える材料のひとつとしてしか
勘定していない常軌を逸した冷徹さ。そして、飢餓にも等しき勝利への執着を武器としており
異能戦闘者としての資質は最低ランクで直接戦闘力も低いが、ギャンブルには鬼のように強い。

ヒロインはお嬢様な転入生、情報屋な幼なじみ、腹黒アイドル。
一番のお気に入りは学園後任アイドルな聖海学園序列六位の功魔騎士、神峰弓。
艶やかな黒髪と、ぱっちりとした大きな目。顎は細く顔は小さく、その上スタイルは抜群のモデル体型。
少女の愛くるしさと美女の大人っぽさを併せ持つような、女子から見ても「美少女だ」というしかない美少女。
普段は明るく人懐っこく天然のドジっ子といった感じの、正に清純派アイドルそのものな姿を見せているが
素は計算高い毒舌性悪娘。しかしその一方で、演技力と人から見られる意識の高さは図抜けており
また、心の底では自分の外面ではなく、中身をきちんと見て評価してくれる人を求めている。

現時点(三巻)においての評価はB。
内容だけ見ると、学園異能バトル、序列制度、いきなりのヒロインとの試合などテンプレ要素満載ですが
正々堂々の戦い、勝敗よりも大切なこと、努力は報われる、仲間との絆。何それ美味しいの?
と言わんばかりの態度で異能競技を勝ち進んでいく主人公がこれ以上ない存在感を出しています。
卑怯を含めて勝つために最善の努力を尽くす。ある意味誰よりも真摯だからこそ、見ていて清々しい。
そんな悪党な彼をなんだかんだで受け入れ応援するヒロインたちも良い女してますしね。
本筋は世界大会優勝という目的に向け、いよいよ強敵が待つ関東大会がスタート。
どう考えても無理ゲーくさい実力を見せるライバルをどう打倒するのか、今から楽しみなところです。