くじ引き特賞:無双ハーレム権 三木なずな(GA文庫)
くじ引きによって手に入れた力で国を救い女王と姫を侍らせるチートハーレムストーリー。
タイトル通り、無双できるチート能力を得た主人公が異世界で活躍してハーレムを作る話ですね。
清々しいまでストレートで、なおかつ都合がよすぎて、そして夢のある設定には拍手を送るしかありません。
まあ、設定が設定なだけに、捻りも障害らしい障害もないので、起伏は事実上ないも同然なのですが。
なので、ストレスを感じずひたすら主人公のターン! を楽しみたい読者向けの作品と言えるでしょう。
ラストは、魔王をも自分の女にした主人公は次元の壁を切り裂き新たなる冒険へエンド。
主人公はくじ引きによって自分の全ての能力が777倍になる能力を得て、異世界へと転移した青年。
心霊現象やホラーを見ても特に何も感じず、権力にもまったく臆さなかったりと、度胸は抜群。
良く言えば即断即決、悪く言えば自身の欲望に素直で考えなしに行動を起こしてしまうタイプ。
また、美女美少女に弱く、それゆえに必要もないのに格好をつけたがるところも。
かなりの親バカ気質で、魔剣エレノアとの間にできた娘であるひかりをひたすら溺愛している。
ヒロインはお淑やかな姉姫、犬耳獣人メイド、辣腕な豪商娘、押しかけ弟子魔法使い、魔剣擬人化幼女。
一本気な戦姫、不死の聖女、物静かな女王、マイペースな大賢者、魔王な王女、元看板娘&料理人な姉妹姫。
武人な妹姫、無邪気な幽霊娘、犬系な竜王、素直すぎな王女、敬虔な神の子、はすっぱな女戦士。
奇人な自称皇帝。あと、奴隷兵(三桁)や他国に作られたハーレムなども。
一番のお気に入りはメルクール王国の第三王女、ヘレネー・テレシア・メルクーリ。
金色のロングヘアーと、ツンと尖った耳。そして、気品溢れる振る舞いに穏やかな物腰、冷静な態度。
更に、物分りの良い性格に加え、惚れた相手には従順と、正に「ザ・お姫様」といった感じの美少女。
その一方で、一度助けてくれただけの主人公を命懸けで信じたり、変装して城を抜け出したり
冒険についてきて盗賊たちと斬りあいをしたりと、アクティブな面も併せ持っている。
評価はD。
典型的な「細かいことを気にしたら負け」なタイプの作品。頭をカラッポにして読むのが吉。
まあ、テンポが良すぎて描写やキャラの掘り下げが若干淡白になっている感があるのは残念なところでしたが。
特に主人公とか、原作開始以前のことがまったく語られないから感情移入が全然できなかったんですよね。
据え膳にちゃんと手をつけるところは評価できますが、色々な面で短絡的過ぎでどんな人生を送ってきたのかと。
最終巻では自分の都合でやったことで起きた不都合にブチ切れる、という最高にダサい姿まで見せる始末でしたし。
確かにひたすら溺愛し続けてきた最愛の娘を失えば怒って当然と納得はできますし、自分勝手というキャラからは
ブレてはいませんが、怒りを自分に向けなかった時点で個人的には正直株はかなり下がった印象。
ヒロインたちにしてもチョロいのは仕方ないにしても、都合のよい反応ばかりで反感を持ったりしないのは…
本筋は最後まで「チートを手に入れた主人公があらゆる戦闘に勝ち、美女は全員ハーレムに入れる」を
貫いての完結と、一貫性のある構成になっていたのがよかったです。