伊達エルフ政宗   森田季節(GA文庫)



戦国時代の真田雪村として転生した少年の、異世界転生×戦国ファンタジー。
有名人の大半が女性化している戦国時代へのタイムスリップというギャルゲー的設定な戦記ものですが
一風変わっているのは、性別だけではなく種族までもが大幅に変化しているという点ですね。
エルフ、ドワーフ、サキュバス、アンデッド、精霊、竜人、獣人、悪魔など、国ごとに異なる人外だらけなので
かなりファンタジーな雰囲気が強め。種族特性を活かした戦闘描写も中々面白いです。
なお、それ以外の部分はかなり史実に忠実なので、戦国時代ファンも楽しんで読める作品かと。
ラストは天下に害ある支配を目論んでいた織田サタン信長を撃破。
主人公は元の世界に変えることなく、これからも伊達家の人間として戦乱の世を駆け抜けていくエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの伊達エルフ政宗と結ばれて終了。ただ、他ヒロインも子種を諦めてはいない模様。

主人公は異世界の真田幸村の魔法で魂を交換させられてしまった高校生の少年。
元の世界へ帰還するため、そして死なないためも伊達家の客将として仕えることに。
思考の切り替えの早さと状況適応力に優れており、また、コレと決めた時の度胸と根性は抜群。
なお、憑依している身体が真田雪村のものだけに、身体スペックはかなり高い。

ヒロインは尊大な主君エルフ、おっとり神官エルフ、男性恐怖症なサキュバス、気弱な勇者。
お気に入りのヒロインはなし。

評価はD。
パッと見はかなりイロモノ臭が漂っていますが、内容は意外と真面目な戦記ものになっており
それでいて、作者さん特有のシュールなボケツッコミ会話も健在なので上手くメリハリが効いていました。
美少女なヒロインたちとのラブコメやラキスケもちゃんと用意されていて、華やかさもバッチリでしたし。
反面、元現代人な主人公があっさりと戦場に慣れたりと、アバウトな部分もチラホラ見受けられましたが。
本筋はラスボスこそ倒したものの、まだまだ敵は多く、天下統一には遠い状態での完結と一見打ち切り風ですが
元々第一目的が信長の野望を挫くことだったので消化不良感はそれほどでもなかった印象。
とはいえ、まだまだ話を広げる余地があったことも確かなので、そこは残念ではありましたが…
ラブコメ面も主人公の決断理由を含め、無理やり纏めた感が強かったですし。