前略、英雄候補は強くなるためにセンセイと××します。   葉村哲(MF文庫J)



先生(元英雄)×少女(英雄候補)の世界救済ラブコメディ。
分類としては教官ものになると思われますが、まともに教導をする描写はかなり少なめです。
まあ、恋をすると強くなるという理屈が掲げられているため、ラブコメ重視になるのは仕方がないわけですが。
というか、世界の終わりが近づいているという世界観なのに主人公周りの雰囲気ゆるすぎぃ!
世界を滅ぼさんとする強大な敵とのバトルもあるので、シリアスがないわけではないのですが…
ラブコメ面はメインヒロインのアリシエルが押せ押せモードですが、さて。

主人公はかつて霊魔大戦において、六の霊魔を封じた元英雄。
不吉とされる灰色の髪に、古びた灰色の外套が特徴的な青年で、普段は飄々と軽薄でふざけた態度ばかりをとる
だらしのないスケベ男だが、先の英雄だけあって隔絶した戦闘力を有しており、イザという時は頼れるタイプ。
英雄としての役目を果たした後は大陸を放浪していたため、料理をはじめとする自活能力は高いのだが
致命的なまでにやる気がないため、いつもカツカツの生活をおくっている。
特技は食える草を見分けること。趣味は釣り。

ヒロインは剣術一筋な英雄候補、天才魔法使いな英雄候補、三十路なボクっ娘殺し屋。
一番のお気に入りは剣の達人な英雄候補の片割れ、アリシエル・クーデライト。
夜を溶かしたような長い黒髪、感情の宿らない氷の瞳、極めて端正な顔立ち、はちきれんばかりに豊かな胸。
そして、凛とした空気と無表情で何事にも動じない姿が大人びた印象を見る者に抱かせる美少女。
常に無表情で無愛想、口調も淡々としており、性格は生真面目で実直、思い込んだら一直線なところがある。
子供の頃から剣に生きる日々を過ごしてきたため、年頃の女の子らしいことは何も知らず
それゆえ、すぐに影響を受けたり、相手の優しさにコロッといってしまったりと、基本的にチョロイ。
継承権こそ持たないものの、実は大国のお姫様(現王の第十八子)だったりする。

現時点(二巻)においての評価はC。
ファンタジーにはつきものともいえる造語の数が多いため、きちんと読み込むのに少々苦労しますが
全体的な空気は軽めなので、基本ストレスフリーで読み進めることが出来ます。
前線では数多の戦士たちが死力を振り絞っているのに、唯一の希望である勇者達は呑気にラブコメな日々。
と書くと実にギャップが激しく、酷い話ではあるのですが。でも勝っちゃうんだよなぁそれで…
キャラに関しては、道化を演じながらも決して底を見せない主人公が不気味な存在感を醸し出していますね。
ヒロインたちもノリがよくて言動がアクティブなので活き活きとした魅力がありますし。
本筋は二体目の霊魔を撃破。このペースなら六巻で完結ということになりますが、そう単純にはいかない?