デュエル・イン・ザ・リヴァース   なかひろ(MF文庫J)



ヒロインを攻略して世界を救う、新感覚カードゲーム風青春ラブコメストーリー。
問題解決のためにはウイルスに心を冒された少女達の悩みを解決し、粘膜接触をしなければならない。
というお題目が用意されていることからわかるように、ラブコメ要素が濃い話になっています。
また、攻略したヒロインはカードゲームのSPカードとなって主人公のバトルの助けになり
さらに、ヒロインカードは親密度が上がるとより強くなる、という設定も存在しているため
もうひとつのメイン要素であるカードゲームとの連動が上手くできているのが中々面白い。
ラブコメ面は設定的に考えて、巻を経るごとにヒロインが増えていくことになりそうですが…?

主人公はカードゲーム「リヴァース」のトップランカーな高校生の少年。
妹の病気を治すために医者を目指し、妹を楽しませるためにカードゲームを覚え、強くなり
妹に寂しい思いをさせないために毎日病院に通うなど、大のシスコンにして努力家。
弱音を吐かず、人に心配をかけないよう悩みを一人で抱えこんでしまう性格であり
その一方で、他人の気持ちに共感して親身になることが出来る優しさの持ち主でもある。
言葉がいつもストレートでコミュ力に欠けるため、相手の機嫌を損ねたり、照れさせてしまうことが多い。

ヒロインは優等生な幼なじみ、中二病な病弱妹。
サブにロリ巨乳なサポートアプリ、礼儀正しい妹分、小生意気な元気娘なども。
一番のお気に入りはお隣さんにして家族ぐるみの付き合いがある幼なじみ、此花卯月。
抜群のスタイルに加え、清楚な優等生といった雰囲気を持ち、実際学校でもそれに違わぬ評判を有しており
性格も真面目で誠実で律儀。そして世話焼きで心配性。その上家事万能と正に良妻賢母タイプの美少女。
普段は感情表現が慎ましく、どちらかというと淡白で、一人で悩みを抱え込んでしまうことが常だが
好意を抱いている主人公のことが絡むと冷静さを失ってしまうこともしばしば。

現時点(一巻)においての評価はC。
メイン要素であるカードゲームとラブコメが密接に絡んでいる構成なため、話は理解しやすいです。
反面、勢いや盛り上がりに欠けるというか、文章にあまり起伏が感じられない印象も。
主人公は誠実なところは好感が持てるのですが、悪い意味で鈍感すぎる部分がやたらと目立つため
そのたびに引っ掛かりを覚えて感情移入しにくいのがマイナス点でしょうか。
華やかさという点では、ヒロインたちのわかりやすい可愛らしさが前面に出ていて文句なしなのですが…
本筋は事の黒幕を引っ張り出して倒す! という明確な最終目的が提示されてはいるものの
そこへ至る道のりの長さが具体的でないこともあり、次巻以降の展開がどうなるのか気になるところ。