オタサーの姫と恋ができるわけがない。 佐倉唄(富士見ファンタジア文庫)
オタ充を目指す少年と、オタクな美少女たちの学園ドタバタラブコメディ。
分類的にはコメディ成分たっぷりなトークが主体になっているタイプの特殊部活動ものですね。
よくある「今までのオタク趣味を捨ててリア充になるぞ!」な過去を切り捨てる方向ではなく
あくまでオタクのままリアルを充実させようという主人公の前向きさが中々好感触。
まあ、物語開始早々あっさりとそのプランは崩壊するわけですが、結局美少女だらけの部活に男一人と
客観的にはどう見てもハーレム環境に身を置くリア充になってしまっているわけだから幸運だよなぁw
ラストは三角関係のもつれによるサークルクラッシュの危機を乗り越え、仲良しグループは続いていくよエンド。
ラブコメ的には他ヒロイン全員との関係に決着をつけたうえで、空野継未と結ばれて終了。
主人公は高校デビューを機にリアルを充実させようと目論むオタク男子。
思い込みの強さとコミュ力の低さ。そして天然気味な言葉足らずから誤解を受けることもしばしばだが
基本的には他人を誠実に思いやることができる性格をしている。
その一方で、目的のためには手段を選ばないゲスさも有しており、そんな自分が大好きであるため
中学時代は周囲から「正義のゲス」「大義名分を得たゲス」などと呼ばれていた。
オタクとしての好きなジャンルはハーレムものと学園異能もの。
また、それぞれの作品のストーリーに合致していてその上で可愛ければヒロインの属性は気にしない。
ヒロインはオタサーの姫な幼なじみ、ギャル系クラスメイト、天才科学者な後輩、完璧超人な先輩。
一番のお気に入りは何故か主人公のオタク話にのってくれるギャル系女子、空野継未。
明るい茶色に染められた髪、着崩されたセーラー服、ギリギリなミニスカ、更にはネックレスにネイルアートと
典型的な「女子高生」と呼ぶよりも「JK」と呼ぶ方が適切なタイプの女の子だが
遊んでいる風の外見に反し、良い意味で気兼ねや屈託がなく、表情も豊か。そして純情処女。
また、良く言えば律儀、悪く言えば貧乏くじを引きそうな性格をしている。
周囲にはバレないよう隠しているが、実は歌い手兼ニコ生の生主な隠れオタク。
評価はC。
軽快な掛け合いがメインで、シリアス要素は終盤までほぼ皆無な構成なので気楽に読むことが出来ました。
というかこの作品、メインヒロインの花咲百合姫のキャラを筆頭に、とにかくあらゆる部分があざとい。
唐突なお色気イベントの数々は勿論、会話の中では実在のラノベやゲームがポンポン出てきますし
主人公も事あるごとに凝った描写で女の子の外見を語ったりとメタ具合がかなり強い印象。
まあ、ここまで開き直って突き進んでいるなら、逆に感心するレベルではあったのですが。
本筋は終わってみればこれ以上なく綺麗な形で纏まっていたとは思いますが、その一方で一巻の時点では
まるで想像もつかなかった恋愛パートの掘り下げのガチさというか、現実とフィクションのギャップを
とことん追求していた終盤の展開は正直肌に合わなかった感がありました。
現代日本がベースである以上、最後に選ばれるヒロインは一人というのは理解できますが、ラノベの中で
「これはリアルでフィクションじゃないんだから」と事あるごとに強調されてもぶっちゃけ困るし醒める。