アサシンズプライド 天城ケイ(富士見ファンタジア文庫)
世界の理において存在を認められない二人が、矜持にかけてその存在価値を世界に示すファンタジー。
分類としては教官もの。教え子は一人きりなので家庭教師というほうが正確ではありますが。
主人公の裏技含みの教導と落ちこぼれなメインヒロイン・メリダの努力の結晶が大事な場面で花開き
彼女を見下していた周囲をアッといわせる、という王道の落として上げる展開が爽快感抜群です。
ラブコメ面は現状主人公はメリダに色んな意味でゾッコンなようなので少なくとも本命(正妻)は揺るがず?
主人公はメリダの家庭教師として騎兵団(ギルド)から派遣された青年。
メリダを育成するのが任務だが、彼女に見込みがない場合、暗殺せよとの任務も負っている。
艶やかで紫がかった黒髪に涼しげな切れ長の瞳、そして引き締まった長身から大人びた雰囲気を
醸し出している美青年で、その紳士的な外面の良さと猫っかぶりの腕は一級品。
状況や相手によっては容赦のない毒を吐いたり、弄り言動を行ったりとS気質の持ち主でもある。
その一方で、一蓮托生の教え子であるメリダが関わることとなると我を忘れてしまうことがあったり
また、異性との接触に内心ドギマギしたりと、年齢相応な一面を見せることも。
ヒロインは努力家な令嬢、学年最強な令嬢、子犬系な家庭教師仲間、真面目健気な令嬢、妖艶な令嬢。
一番のお気に入りはパラディンの位階と高い実力を持つ公爵家の分家令嬢、エリーゼ=アンジェル。
清楚に切り揃えられた銀色の髪に白雪を思わせる柔肌、氷のように冷たい眼差しが印象的な美少女。
いつも超然とした無表情な上、口数が少なく淡々としているため何を考えているのかわからないように見えるが
実際はぼんやりしているだけであり、素は泣き虫&弱虫で、オバケみたいな恐ろしい存在が何より苦手。
そのため、周囲に持ち上げられ期待を押し付けられることに息苦しさを覚えている。
現時点(十三巻)においての評価はC。
夜の闇に覆い尽くされている巨大なシャンデリアに見立てられた世界、という設定がとても幻想的であり
主人公が家庭教師にして暗殺者、というギャップとあわせて読み手の興味をグイグイとひきつけてくる作品。
暗殺者なのにやたらとチョロかったり教師バカであったりと年齢相応な姿を所々で見せる主人公と
無能扱いされいじめられながらもへこたれず健気に貪欲に強さを求める努力家なメリダの共犯者な師弟コンビ。
この二人のスポ魂を思わせる情熱的な影響の与え合いもまっすぐな気持ちよさがあってグッド。
本筋は過去の世界で遂に世界の真実を知った主人公一行。敵勢力との決戦も近づいているようで…?