封神演戯   森田季節(ダッシュエックス文庫)



古代中国の伝奇小説「封神演義」をモチーフに、神と仙人が戯れるまったく新しいファンタジー。
この手の元ネタあり作品のお約束ではありますが、主人公以外の登場キャラは大体美少女化しています。
なお、内容のほうもかなりアレンジされているので、元ネタを知っていなくても問題はありません。
勿論、知っていたほうがより一層楽しめるのも確かなわけですが。
そして登場人物のほとんどがリアル換算の年齢で超のつく爺さん婆さんということは無視するべしw
ラストは新しき宇宙を創造せんとする事の黒幕を倒し(てもらい)平和な日々が戻ってきたのだったエンド。
ラブコメ的にはヒロイン二人による主人公を巡る恋の争いはこれからだ! な感じで終了。

主人公は並行世界の歴史を管理する組織「崑崙」に所属する仙人。
覇気というものがない、ぐーたら&ネガティブ気質で生き方も基本的に行き当たりばったり。
また、飄々とした態度がデフォルトであり、言い訳と屁理屈は一人前と典型的なニート。
しかし、ひとたび動き出すと機敏、頭の回転も速く、責任感も強いなど、能力的には優秀だったりする。
仙人なので色恋には淡白だが、異性との接触に無反応というわけではない。

ヒロインは自信家な天才仙人、ボクっ娘最強仙人。サブに体育会系霊獣、無表情系宝貝人間など。
一番のお気に入りは主人公のニート仲間にして最強の仙人、太上老君(李誕)
見た目は基本スペックの高すぎる正真正銘の美少女だが、常に無表情で平坦にマイペース。
そのため、何を考えているのか判断しにくいが、怒ったり拗ねたりと、決して無感情というわけではない。
何故か主人公にだけは唯一といっていい興味を抱いており、たまに見返りを求めない優しさを見せることも。

評価はC。
封神演義というと、私の中では藤崎竜先生の漫画版が元知識になっているわけですが…
主人公(太公望)のキャラをはじめとして、こちらからも少なからず要素が取り入れられているようです。
なので、原作は知らないけど漫画版は読んだことがある、という人も結構読みやすいかと。
むしろ、男キャラがメインだった漫画版と美少女だらけの本作のギャップが楽しめてある意味お徳かも?
本筋は三巻完結という短さゆえに詰め込み感が強かったですが、話としてはそれなりに纏まっていた印象。
ただ、主人公サイドがほぼ終始受身というか振り回される一方だったので爽快感には欠けましたが。
主人公のぐーたら気質&実力上仕方がなかったとはいえ、ラスボス戦なんて人頼みでしたし…
まあ、このグダグダ感こそがこの作品の持ち味だといえば、そこまでなんですけどね。