ボクも世界も死にたくないのに   八薙玉造(ダッシュエックス文庫)



死にたくない少年と世界の、世界一小規模で世界一大規模な半同棲ラブコメストーリー。
分類としては、巻き込まれ主人公+現代異能バトル+ドタバタラブコメですかね。
発端は善神と悪神の戦いとスケールが大きく、世界が危機だったり主人公は命を狙われたりと
状況のヤバさは凄いですが、本編のノリそのものはかなり軽めでしょうもない展開が多いです。
シュール度が高いというか、深く考えたり突っ込んだりしたら負けな作品といえるでしょう。
ラブコメ面は今のところフラグが立っているのはメインヒロインのアシャだけのようですが…?

主人公は力を持ったまま砕けた善神の欠片の宿主となってしまった少年。
若干オタクで眼鏡であること以外特徴はなく、少し卑屈なところがあるが、物腰丁寧で真面目&律儀な性格。
ただ、善神の欠片の宿主として選ばれただけあってか、相手が自分を殺しに来た敵であっても
一生懸命助けになろうと悩み、友好を結ぼうとするなど、根っからのお人よしにして善人。

ヒロインはうっかり女神、関西弁な魔女、腹ペコサイボーグ。
サブに眼鏡美人な忍者、親戚の管理人姉妹、ギャル系妖狐なども。
一番のお気に入りは内閣情報調査室の非公式独立部門、通称「武塔」所属の二十歳、服部大火。
長い黒髪を前に揃え、後ろは束ねており、眼差し、顔つき、雰囲気は剃刀のように鋭く
正にできる大人の女性といった感じの眼鏡美人。実は服部半蔵の系譜に連なる忍者でもある。
真面目さと冷静さを併せ持ち、任務にも忠実なのだが、それゆえに無茶振りに応える羽目になったり
成人なのに十七歳女子高生として過ごすことになったりと、立ち位置は苦労人ポジション。

現時点(一巻)においての評価はC。
最悪の場合は世界レベルの大惨事、しかしその切欠となるのは数々のしょうもない呪い。
というギャップのある設定と、シリアスになりきれない和気藹々とした掛け合いが笑える作品です。
キャラに関しても、強大な力やシリアスな背景をを持ちながらも、呪いに縛られているがゆえに
道化になってしまうヒロインたちにはついつい親しみを覚えてしまいますし
お人よし過ぎるところこそあれど、それが鼻につかず素直に好感が持てる主人公も良い感じかと。
本筋は当面の危機を退けたものの、主人公を狙う呪い持ちはまだまだ多数存在するようですし
次巻以降も騒がしくなりそう(実際、一巻ラストで超展開が発生している)で先が楽しみ。