聖剣士VSブラック企業   弘前龍(電撃文庫)



白銀の聖剣士(兼大人気ラノベ作家)がブラック企業を撃つ社畜系ブラックコメディファンタジー。
ブラック企業に焦点があてられていますが、舞台が現代日本ではなくファンタジーであるがゆえに
死んでも蘇生できるから過労死前提で社員を使い潰せる、物理的にブラック企業を成敗できる。
などといった、無茶苦茶かつツッコミどころ満載な描写や設定が実に笑えて面白い。
電撃(作中では雷撃)編集部を使ったメタネタも色々ギリギリで笑いが止まりませんでしたし…
魔法による服破壊などのお色気イベントが欠かさず入れられているのもある意味流石です。

主人公はブラック企業を駆逐する聖剣士。その正体は大人気ラノベ作家。
両親を過労死で失って以来、ブラック企業を憎み、社畜たちを救うことを強い信念としている。
まっすぐで正義感の強い性格だが、聖剣士活動が多忙ゆえに編集部に迷惑をかけることが多い。
本業であるライトノベル作家としては、デビュー作がライトノベルの代名詞と言っても過言ではない
レベルの人気作品となっており、若年ながら既に大御所の風格すら出てきている。

ヒロインは金髪巨乳社畜エルフ、編集者な幼馴染。サブに発情ペガサス。
一番のお気に入りは雷撃文庫編集部に勤める女性社員、神保フィンドゥリル。
黒髪、童顔、小さな体格と、外見は大人のレディを目指して背伸びをしているお子様といった感じだが
淡々とした言動で仕事をこなし、面倒見もよかったりと、社会人としては間違いなく有能。
担当作家である主人公に対してはやや厳しめの物言いが多いが、実のところ内心ではデレまくりであり
いつも虎視眈々と彼との距離を詰める機会を窺い、同時に聖剣士としての活動を心配している。

現時点(一巻)においての評価はC。
全体的なノリは軽めな上、テンポのよさと勢いがあるので細かいことを気にせず読めます。
先鋭化した極悪ブラック企業を快刀乱麻を断つ勢いで成敗していく主人公の姿も実に爽快ですし。
まあ、会社が潰れて路頭に迷った人たちのフォローがスルーされているのは気になるところですが…
それでも「嫌なことからは逃げていいんだ!」という堂々とした主張はとても胸に響きました。
個人的には是非続きを読みたい作品ですが、題材が題材だけにネタが続くかが気になるところ。