迫害不屈の聖剣錬師　　　天羽伊吹清（電撃文庫）



突如出現し、侵攻して来た金属生命体群「マキナ」を討ち滅ぼす聖剣を聖錬する聖錬師。
そんな人類の希望である彼らを育成する学校を舞台にした、剣と魔法のソードクリエイション・ファンタジー。
コミカルな掛け合いやお色気シーンが目を惹きますが、内容は決して軽くなく、シリアス度は結構高め。
イベントそのものの大枠はテンプレな学園バトルラブコメ風に仕上がっているので読みやすくはあるのですが。
ラブコメ面は一巻終了時点で出会ったばかりのヒロイン三人からの好意をゲットと幸先は良いですが…？

主人公は聖錬師の名家にして、勇者のための神器を鍛え損じた忌まわれし一族「イシュバーン」の末裔。
聖錬術の才能は人並み以下だが、超人的な剣技と多彩な魔法を活かした戦闘能力は英雄にも匹敵する。
幼い頃から迫害されてきたためか、ぶっきらぼうで無愛想、誰に対してもふてぶてしい態度が常で
沸点が低いところこそあれど、十六歳という年齢不相応に達観し大人びた性格。
その一方で、授業態度は真面目であったり、家事に長けていたりと外面からは想像もできない一面も。
平気でセクハラを働くデリカシーのなさと、女の子の無防備な振る舞いを注意する気遣いを併せ持っている。

ヒロインは優等生な生徒会長、影武者な王太女、男装皇女。
一番のお気に入りはマキナにより滅ぼされた列島皇国タカマガハラの皇女、トワ・タカオノミヤ。
腰を越すまで伸ばされたくせのない黒髪に中性的な顔立ちの痩身の美人で、総合成績は学年次席。
戦闘実技や決闘の勝率も高く、性格は清廉潔白で不正を許さず、他人にも自分にも厳しい。
そのため、敵を作りやすくはあるが同時に人望も厚く、出自も相まって女子からの人気は抜群。
が、人前での凛とした態度とは裏腹に私生活はズボラで、一人になると一気に堕落するタイプだったりする。
なお、普段は平らにしてさらしの内に収められているが、実はかなりの巨乳。

現時点（二巻）においての評価はＣ。
劣勢の人類、迫害を受ける主人公、悲愴な背景を抱えているヒロインたち、と重めの設定が目立ちます。
というか、敵との戦力差がありすぎて予想以上に人類側が崖っぷちなんですがどうするんだこれ。
それに主人公はともかく、ヒロインたちは今後のバトルインフレについていけない気が…
日常＆ラブコメパートが賑やかで楽しいのはいいのですが、そんなことやってる場合かと言いたくなりますしね。
本筋は事情が事情なので仕方ないとはいえ、主人公に対する周囲の迫害がかなり不快なレベルですし
早いところ評価が逆転する展開になってほしいところ。次巻からは大会編のようですが…？