断罪官のデタラメな使い魔 藤木わしろ(HJ文庫)
魔法殺しの超有能コンビが贈る、アンチマギクス×バトルファンタジー。
大まかに言えば、旅をしながら訪れた土地で魔法絡みの事件を解決していく話です。
一風変わっているのは、事件の原因究明&解決の中に裁判という要素が加わっている点でしょうか。
裁判官ということで、主人公達に最初から公的な権力や大義名分があるのも珍しいですしね。
とはいえ、検事はいませんし法廷での舌戦もないので一方的な断罪にしかならないわけですが。
ラブコメ面はメインヒロインの緋澄一強ですが、今のところ相棒としての色のほうが強めの模様。
主人公は相棒の緋澄とともに世界各地を回っては裁判官として活動する青年。
頭脳労働と肉体労働の両方をこなす実力者だが、その反動か超がつくほどの甘党。
チンピラ風の面構えに違わず、言動は誰に対しても横柄で挑発的、性格も粗雑で乱暴。
気が短く、ナメられるのが死ぬほど嫌い、とかなり問題だらけだったりする。
しかしその一方で、無駄を嫌い、観察力と分析力に長けた繊細で理知的な面も持っており
また、ぶっきらぼうのようでいて、ツンデレめいた優しさを見せることも。
ヒロインは冷静沈着な相棒。
一番のお気に入りは主人公とコンビを組む緋瞳緋髪の少女、緋澄。
相棒である主人公に対し、常に冷ややかな態度をとり、無機質で感情のない声音で話しかけるなど
一見するとぞんざいな接し方ばかりだが、その冷静沈着なツッコミ役とも言うべきキャラは
自身に科せられた法「十二時間に一度、他者に危害を加える」による心的負担を軽減するための
仮面でしかなく、本来は争いを好まず、他者を傷つけることに悲しみを抱く優しい性格をしている。
食事を唯一の楽しみとしており、何気に小柄な身体からは想像できないほどの健啖家。
現時点(一巻)においての評価はC。
主役コンビによる、阿吽の呼吸なテンポのよい掛け合いが作り出す空気感が実に良い感じ。
ストーリー面も、胸糞悪い外道が出てくるがゆえに過程で悲惨な場面があったりしますが
主人公に容赦がなく、キッチリ罪に見合った報いを与えますし、救われるべき人間はちゃんと
最後には救われる話の構成になっているので、後味はスッキリしています。
今後の展開としては、主要キャラの掘り下げをしつつ次々と事件を解決していく感じになるのかな?