カフェ・ド・ブラッド   水城水城(ファミ通文庫)



血を提供するカフェを舞台にした、心優しき吸血鬼と歪な願いを抱えた少年が織りなすダークファンタジー。
飲血カフェという設定は中々珍しいですが、それ以外はよくある吸血鬼退治の物語ですね。
敵対する恐ろしい吸血鬼との息詰まるバトルと、癖のある吸血鬼たちと戯れるほのぼのとした日常。
この明暗ともいうべき二つの要素がお互いを引き立てあい、話に緩急を生み出しています。
主人公を除く主要キャラのノリは軽めですが、ちゃんとダーク色は濃いですし。
ラブコメ面は今のところ描写少なめ。吸血関連でのお色気シーンは用意されているのですが…

主人公は子供の頃吸血鬼に襲われて家族を亡くし、その時駆けつけて助けてくれたアナスタシアへの
恩返しとして、住み込みでカフェ「ノクターン」で働いている高校二年生の少年。
吸血鬼ハンターとして戦っているが、吸血鬼に対しては憎しみを抱きつつも、複雑な思いを抱えている。
普段は押しに弱いところこそあるものの、物腰穏やかな性格。
接客業をこなしているからか誰にでも敬語で接するが、人に害をなす吸血鬼相手には冷酷さを見せる一面も。

ヒロインは店主な吸血鬼、正義感の強い学級委員。
一番のお気に入りはクラスメイトにして学級委員長な新米吸血鬼、細美美果。
茶髪ショートの、化粧っ気がない地味な少女で、よくよく見ると可愛らしいとわかるタイプだが
その一方で、スレンダーな細身、きゅっとくびれたウエストに似合わぬ特大サイズのバストの持ち主。
真面目でやたらと正義感が強く、お節介で世話好きな性格。そして学級委員の職務に熱心なことから
特徴的な胸と合わせ、皮肉を込めてつけられた渾名は「おっぱい番長」
上記の性格に加え、何かと思い込みが激しいがゆえに見当違いな注意を口にすることが多いが
基本的に素直でサッパリとした気性なため、自分の非を自覚すれば即座に謝ることができる。

現時点(一巻)においての評価はC。
題材こそありきたりではあるものの、吸血鬼というイメージに沿ったシリアスな血生臭さが漂う空気感と
吸血鬼たちの集まるカフェ、という舞台設定の融合が独特の味を出している作品だと思います。
キャラに関しては、普段は頼りなく情けなくも鉄火場では容赦がなくなる主人公の二面性が印象的。
話のダークさに反し、可愛らしさと和みを振りまいているヒロインたちは作品の清涼剤になっていますし
カフェの常連である個性豊かな吸血鬼たちとの掛け合いもシュール気味に楽しくてグッド。
本筋は次巻から少しダークさが増すとのことですが、さて。