異世界スーパーマーケットを経営します   柏木サトシ(ファミ通文庫)



異世界に転移した少年が現代知識で借金に悩む商業地区を救う異世界経営ファンタジー。
現代知識を活かしてファンタジー世界の商業に旋風を巻き起こすという、大体タイトル通りの話です。
レイアウトや接客方法、新商品開発などの商売術から、この手の話ではお約束の日本食で異世界人を虜に!
といった現代知識無双が、わかりやすくテンポよく描かれているのでサクサクと軽快に読み進められます。
まあ、少々ご都合主義が強い感はありますが、その分状況が良い方向に向かっていく時の爽快感は抜群。
ラブコメ面は今のところ描写少なめ。むしろサブキャラ同士の恋愛に焦点が当たっている感あり。

主人公は仕事帰りに電車でうたた寝をして気がついたら異世界にきてしまっていた十九歳の青年。
元の世界では父親の経営するスーパーマーケットで店長代理(アナウンスが主な仕事)を務めていた。
外見は髪を短く切り揃えた精悍な顔つきで、真面目で責任感が強く、筋を通す性格をしている。
仕事に関しては、真面目に取り組みながらひとつひとつ丁寧に物事を進めるタイプだが
その一方で、いつも肝心な局面で詰めが甘いところが欠点。

ヒロインは物腰柔らかな地区代表、質実剛健な女騎士。サブに食いしん坊な新聞記者。
一番のお気に入りはシャルール地区の筆頭騎士、エリス・オネット。
サラサラと流れる美しいロングのブロンドヘアーに意志の強さを窺わせる凛としたつり目。
そして、吸い込まれそうな美しい緑色の瞳を持つ、まるで戦乙女を思わせる端正な顔立ちの美人で
見た目の印象通り、真面目で騎士道精神を重んじる、質実剛健な性格と口調をしている。
また、少々短気で早合点しがちな上、武断的なところがあるが、筋道立てた説明にはきちんと耳を傾けるだけの
素直さの持ち主でもあり、戦闘力はもとより、脳筋な印象に反し計算能力も高かったりと能力面はかなり優秀。

現時点(二巻)においての評価はC。
非道な小悪党が敵対キャラとして登場したりもしますが、深刻なシリアスやバトルなどの要素はないですし
最後は勧善懲悪で終わる構成になっていたので、捻った展開こそないものの、読み味は申し分なし。
キャラに関しても、仕事に誠実で若々しい熱意に溢れる主人公の姿には好感が持てますし
彼をサポートするヒロインや店主達も、一生懸命さと気持ちの良い善人っぷりがよく出ていると思います。
てっきり一巻完結かと思いきや、続巻が出たので少々ビックリしました。
本筋は一応の危機的状況は乗り切ったということで、二巻以降は発展を目指していく方向で進んでいく模様。