堕落の王 槻影(ファミ通文庫)
七つの大罪を起源にした悪魔達の欲望渦巻く堕落転生ダークファンタジー。
色んな意味で規格外な主人公を中心としつつ、彼に振り回される周囲が群像劇風に描かれている作品ですね。
欲望に基づく悪魔特有のスキル、という珍しい設定が活かされているバトルは中々見ごたえがあります。
ただ、これ主人公が現代日本からの転生者である必要はないのでは…?
元の世界の知識や技能を活かさないなら普通に作品世界の生まれで問題ない気がするんですが。
ラブコメ面は主人公に色恋への欲求がほぼ皆無なため、進展は期待できなさそう?
主人公は日本のサラリーマンから悪魔に転生後、いつの間にか「怠惰」の魔王となっていた青年。
なお、二巻にて魔王から邪神にクラスアップした。
無駄なこと、そしてそれ以上に面倒なことを嫌っている、悪魔にしては珍しい穏やかな平和主義者だが
同時に、起きておく必要のある時以外はずっと寝ていられるという怠惰さの持ち主であり
魔王同士の戦い、人間の勇者や英雄の侵攻、神兵の暗殺者などのイザコザはすべて部下に丸投げし
面倒な案件には「そうか」「よは(よきにはからえor余は満足だ)」くらいしか言わない。
ただし、何もしないわけでは決してなく、楽になるためならば手段を選ばないタイプでもある。
何事にもあまり興味を覚えることがないため、他人の名前を覚えるのが苦手。
ヒロイン(?)はダダ甘専属メイド、短気なエリート悪魔、無愛想な小柄将軍、腹黒メイド。
一番のお気に入りは主人公の守護及び城の警護を担当する第二軍の将軍、ミディア・ルクセリアハート。
血のような深紅の瞳と、無造作に切り揃えられた髪を髪飾りでとめているのが特徴の女悪魔で
色欲を名乗っている(実際は嫉妬)関わらず、欲望の対象として見られることを嫌い、いつも無愛想な表情をし
外見も小柄な身体を色気の欠片もない丈長の純白ローブで覆っている。
淡白ながらも真面目でストイックな性格で、主人公への忠誠心も高いが嫉妬深く頭に血が上りやすい一面も。
現時点(二巻)においての評価はC。
怠惰を司っているだけに、主人公の徹底した「何もしたがらない」っぷりが目立ちます。
主人公という話を動かす立場にいながら、この一貫した不動具合は感心すら覚えてしまいますね。
普段昼行灯な存在が、イザという時は周囲を驚かせる活躍をする、という手法は王道ではありますが
活躍するシーンですらやる気なしのままとかあまりにも筋金入りすぎである。
外に向く欲望を持たないので、戦争もバトルも受け身な上、基本部下任せで自分から動くことはないですし
当然、ヒロインに興味を持つこともないのでラブコメも起こらないわけで…
本筋は敵対してくる魔王や部下を退け、次はいよいよ因縁深い勇者(天使)が登場する模様。