ピリオドからはじまる魔導機書   水月紗鳥(MF文庫J)



二人が結ばれて終わりではなく、二人が結ばれてからはじまる、新たな恋物語。
魔法生物や魔法使いが登場することもあり、現代ファンタジー&異能バトル要素が濃いように見えますが
その実、前作「森羅万象を統べる者」と同じく、激甘なイチャラブが目立つ構成になっています。
この手のオンリーヒロインものはメインヒロインに不快感を覚えない魅力があること。
そして、主人公がブレないことが個人的には必須の条件だと私は思っていますが、この作品は文句なし。
思う存分、二人のイチャイチャ恋人生活をニヤニヤしながら読むことが出来ますね。
ラブコメ面はメインヒロインの音々子の嫁っぷりが磐石過ぎて他ヒロインの介入する余地はなさそうですが…?

主人公はとある図書館の地下に存在する禁書庫で出会った魔導機書に一目惚れしてしまった少年。
無類の本好きということもあってか、ロマンと冒険を好む少年心の強い性格をしており
良く言えばストレートで懐が大きく、悪く言えばアホで考えなしなところがある。
七年前の大災害に巻き込まれた際、人間が脆く死んでいく姿を目の当たりにしたことが原因で
心が壊れてしまっており、それゆえに大切な存在を守るためであれば命を投げ出すことも厭わない。

ヒロインは猫耳な嫁、超ブラコンな実妹、クーデレな兎耳娘、ロリ痴女な狐娘。
一番のお気に入りは「愛」を捜し求めている猫耳尻尾法魔法生物、音々子。
絹のように美しい白く長い髪と、小柄な体躯にもかかわらず主張の激しい大きな胸を持つ美少女で
恋人である主人公に対しては一途で無邪気、健気で優しく、そして誰にも負けない思いやりがあるのだが
その一方で、彼以外に対しては基本的に無関心であったりとかなり極端な面を持っており
また、おっとりした見た目や言動に反して意外に攻撃的な性格でもあったりする。
長年本として狭い本棚に収まっていたことから、広いところが苦手。

現時点(二巻)においての評価はC。
萌木原ふみたけさんの美麗なイラストと相まって、とにかく音々子の愛らしさが最高。
出会って一秒で求婚という思い切りを見せ、その後の愛情表現を躊躇わない主人公にも感心の一言ですし
日常パートでのイチャイチャ度合いといい、この主役バカップルの魅力は申し分ないですね。
まあ、本筋の基盤になっている魔法関係の設定がわかりにくて目が滑るという難点もありますが…
これに関しては、最悪理解を放棄してラブコメの箸休めだと割り切ってしまうのもありかも?
本筋は今後も一巻と同じく、シリアスパートでは魔法関係者との命懸けのバトル。
そして日常パートでは音々子(サブヒロインが加わることも?)とのイチャイチャ生活という構成で進んでいく模様。