パンツブレイカー 神尾丈治(一迅社文庫)
「ギフト」と呼ばれる超能力を持つ少年少女を集めた学園での物語。
と書くと能力バトル系っぽいが、実際はそんなことはなくほぼタイトル通りの作品だったりする。
要は主人公が男女問わずパンツを消しまくる話と断言しても過言ではない。
実際、挿絵の大半の女の子がノーパンだしw
ただ、単純なお色気コメディだけではなく、意外に真面目な要素もあったりと奥が深い部分も。
難をいえば、女性キャラは多いのに、ラブコメ要素は意外なほど薄い点でしょうか。
主人公はパンツブレイカーという珍妙な能力を持つ高校生。
能力の詳細は、名前の通り問答無用で効果範囲(半径二メートル)に入ったパンツ類を消し去るというもの。
実にくだらない、かつ男なら喜びそうな能力ではあるが、この能力のせいで彼はかなり苦労している。
まず自身のパンツも消えてしまうため生きてる限りパンツが穿けず、ズボン直穿き。
更に周囲からは敬遠され、宗教団体には目をつけられ、終いには一家離散の危機にまで追い込まれている。
それでも、たとえ諦めからの発想とはいえ、前向きに生きていこうとするところは凄いと思う。
今までの人生経験から処世術に長けており、プライドもかなり低い。とにかく生き残ること優先。
友人を作ることが出来ない身の上だったため、漫画に傾倒していてよく漫画ごっこをしていたり。
恋愛方面も当然のことながら経験皆無で、普段のキャラの割には純情で奥手、そしてヘタレ。
眼鏡男子だが、(転校を繰り返してきたため)成績はよくない。
ヒロインは不思議系天才少女、献身的な妹、へこたれない委員長、獣な褐色娘。
二巻にて、女性キャラは増加したものの、一巻に引き続きヒロイン扱いは実質的にメインと妹の二人だけ。
一番のお気に入りは献身的なブラコン実妹、汐美幸。
正に理想的な妹の中の妹、恋愛感情抜きでここまで兄想いの妹キャラは見たことがないです。
両親すら見捨てた兄をただ一途に慕い、世話をし、それを苦に思わない兄妹愛はもはや感動すら覚えます。
ただ、兄の能力に使うためとは言え、平気で人前でノーパンになるのはどうかと思いますが。
運動神経は抜群、成績も兄と違って平均以上、家事万能で買い物上手。
と、兄の世話をひたすらする人生を送っていながらもスペックはかなり高い。
現時点(二巻)においての評価はC。
よくぞこんな馬鹿馬鹿しい設定をここまでの物語に仕上げたな、という感心を覚えます。
エロコメディにしかならないところを、あえて深いところまで踏み込むことで筋の通った話になってますしね。
しかしそれでもまさか二巻が出るとは思わなかった罠。