勇者一行ぶらり旅 気がつけば毛玉(角川スニーカー文庫)
過去最高にチョロい異世界に召喚されたベテラン勇者が挑む、異世界ぶらり旅物語。
食べ歩き、アウトトア、温泉など、異世界旅行の醍醐味を思う存分に楽しんでいくことがメインの話です。
旅そのものに焦点が当てられていることもあり、とにかくわき道にそれまくりな旅模様が実に楽しそう。
バトル描写もあっさりしていますし、全体的にゆるゆるまったりな雰囲気なので肩の力を抜いて読むのが吉。
しかしスライムが強モンスター扱いとか、この異世界確かにチョロすぎである。
ラブコメ面は三巻にて事実上メインヒロインのエクセリアによるヒロインレースの勝利が確定。
ただ、このまま単独エンドになるか、側室OKのハーレムエンドになるかはまだ不透明っぽい。
主人公はいくつもの異世界を救った経験のあるベテラン勇者。
几帳面で真面目、正義感がとても強く、困った人は見捨てられないという実に勇者らしい性格をしており
思いやりの心と人一倍の行動力、そして若さに似合わぬ達観した考え方の持ち主でもある。
ただ、幼い頃から長期休暇になると異世界に呼び出され、日常生活においては非現実的な事件に巻き込まれ
それに備えるために空いた時間は鍛錬に費やす、といった暗黒青春時代をおくってきたがゆえに
物分りのよさと順応性に優れてはいるものの、オンオフの切り替えが下手。
また、純真で人を疑うことを知らないため、周囲や環境に感化されやすいところも。
ヒロインは魔剣の精霊、健気な天使、人型最終兵器、ふんわり聖女。
二巻で明朗快活カウガールが登場するも、旅には付いてこないのでゲストヒロイン扱い?
一番のお気に入りはかつて邪神を倒さんとする主人公の助けとなっていたひとつ年上のお姉さん、モル=モニカ。
さらりと長い水色の髪、慈愛を宿した緑の瞳、そして法衣の下に隠された豊満な肢体が魅力的な美少女。
癒しと繋がるものなら全てを自在に操ることができる力を持ちながらも、無欲な慈愛で人々を助けたりと
出身世界での呼び名「聖女」に恥じない人格を有している。
天然でおっとりした温厚な性格で母性本能の塊なのだが、それゆえに男を駄目にしてしまうタイプ。
普段は一行のお姉さん役だが、甘いものに目がなかったりと変なところで子供っぽい一面も。
現時点(三巻)においての評価はC。
幼い頃から勇者として異世界を救ってばかりだった主人公が、食や観光の楽しさに目覚めたことで
人間らしさを取り戻し、愉快な仲間達との旅を楽しむ姿は見ていてほっこりしますね。
うん、彼の今までの苦労と貢献度を考えればこれくらい許されてしかるべきですな。
幸いにも、敵の脅威度もシリアス度も低い平和な世界観なので、差し迫った問題もないわけですし。
まあ、美少女たちに囲まれているのに色っぽい展開がひとつもないのはどうかと思いますが。
本筋は世界中に散らばった魔王を探しだし、倒すための旅+観光という流れで進んでいく模様。