レンタル武器屋アリーチェ 田口仙年堂(角川スニーカー文庫)
町で唯一の武器防具レンタル店(カフェ付き)を舞台にした、異世界商店コメディストーリー。
個性豊かな店員、お客さんや商売敵とのやり取り、店を盛り上げるための試行錯誤、新商品開発など
商売としてお店をやっているという感じがちゃんとラノベっぽく描かれていて面白いです。
シリアス&バトル描写も、メインであるほのぼの日常成分のバランスを壊さない程度に用意されていますし。
ラストは宿敵との戦いを生死、一連の事件は解決。そしていつもの騒がしい毎日はこれからも続いていくよエンド。
ラブコメ的にはほとんど進展がないまま終了。
主人公は見習い女神アリーチェとレンタル武器屋を立ち上げた東方出身の没落貴族の息子。
冒険者時代に出会ったアリーチェの武器と鍛冶の才能に惚れ込み、そのまま彼女の弟子になった。
そそっかしくて単純だが、常にポジティブで一生懸命な陽性の性格をしており
異性に対しては年齢相応に興味はあるが、鈍感でややデリカシーに欠けている。
普段から祖父の言いつけを律儀に守っていたりと、昔気質なところも。
決して不器用というわけではなく、剣術や家事は得意なのだが、鍛冶は苦手。
ヒロインは天才鍛冶士な女神、商売上手な発明家、全身鎧の妹弟子。
一番のお気に入りは奪われた武器を追って人間界にやってきた見習い女神、アリーチェ。
美しい金髪とエメラルド色の瞳、そして小動物のように可愛らしい身体の美少女だが
鍛冶士としての腕は超一流で、彼女の鍛造した武器はどれも神話に出てきそうなほどの力を秘めている。
人見知りかつ臆病な性格と、発する言葉に魔力がある(会話はスケッチブックを使用)ことから
鍛冶以外の話題では人とまともに話すことが出来ず、いつもおどおどしていたりと対人能力がかなり低い。
評価はC。
人を襲うモンスターが存在する危険な世界観ではあるもの、人死などの殺伐とした描写がなく
また、町の住人たちは皆気のいい人間ばかりなので、人間関係でストレスがたまらないのがよかったですね。
主人公はまっすぐで気持ちの良いキャラでしたし、ヒロインたちも嫌味のない素朴な可愛さが好印象でした。
本筋は二巻で完結と短い連載でしたが、過不足なく綺麗に纏まった作品だったと思います。
一巻時点では大事になりそうだった伏線も、いささか拍子抜けながら上手く内輪の話に落とし込まれていましたし。
残念な点を挙げるとするなら、キャラの成長は描かれていたのに人間関係の進展がなかったことですかね。
折角魅力的なヒロインが揃っていたのだから、もう少しラブコメ要素があってほしかった…