超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 海空りく(GA文庫)
地球最高の叡智と技術を持つドリームチームによる、オーバーテクノロジーを自重しない異世界革命物語。
七人の高校生が飛行機事故を切欠に魔法や獣人の存在する中世っぽい異世界に転移。
と出だしはテンプレですが、一風変わっているのは各人がスタート時点で政治、経済、科学、医療といった
それぞれの分野で超人的な能力を持ち、元の世界では頂点に立っていたという点ですね。
神や偶然に与えられたものではなく、あくまで自力のチートなので、遠慮も自重もない活躍が実に爽快です。
異世界人が現代知識&文化に驚く、というお約束の展開がきちんと描かれているのも好感触。
ラストは異世界を救い、元の世界へと帰還した超人高校生たちは未来へと歩みだすのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのリルルと結ばれて終了。
主人公は極端に悪化した日本の福祉と治安、そして経済を僅か二年で立て直した総理大臣な高校生。
常に冷めた無表情で大人びた落ち着きのある言動をとっているが、強い正義感と優しさの持ち主であり
自分のことであれば顔色ひとつ変えないが、他人のこととなるとやたらと沸点が低い。
観察力、洞察力、統率力、思考力、そして人身掌握術など、政治家としての能力に優れており
更には、炊事もこなせて知識も豊富、対人戦闘にも慣れていたりと、ぶっちゃけ完璧人間。
氷炎魔眼(ヘテロクロミア)と称される、左右で色の違う瞳を持っている。
ヒロインは心優しきエルフ娘、人見知りな天才発明家。
あと、枠外のレギュラーとして忍者なジャーナリストやおっとり系凄腕医師、ござる剣士なども。
一番のお気に入りは高校生にして世界最高の発明家である少女、大星林檎。
世界の数世紀先を行く頭脳の持ち主で、元の世界では世の中を支える科学技術の全てを一人で生み出した。
本人の気質と普段人と関わる機会が殆どない環境から、とても恥ずかしがり屋で人見知り。
また、過剰なまでに他人の機嫌や視線、意見を気にする臆病な性格をしているが
中学時代のある事件以来、主人公には全幅の信頼と恋心を抱いており、彼とだけはまともに話すことができる。
頭脳系の天才らしく、ひとつのことに夢中になりだすと周りが見えなくなるタイプ。
評価はC。
主役級キャラが七人もいますが、それぞれが超人の肩書きに違わぬ飛びぬけた活躍を見せてくれました。
肝心の主人公も個性的な面々に埋没せず、七人の中心としてしっかりとした存在感を放っていましたしね。
まあ、各人の能力が突き抜けすぎて半分ギャグになっている部分がありましたが、そこは気にしたら負けかと。
その分、サクサク話が進行するので余計なストレスを溜めずに済みましたし。
本筋はぶっちゃけタイトルほど余裕ではなかったような気がしますが、終わり良ければ総て良しということで。
ラストバトルが武力知力ではなく、理想と思想のぶつかり合いというのもこの作品らしかったですしね。
ただ、ひとつだけ不満点を挙げるならラブコメ面での私の推しヒロインである大星林檎の扱いでしょうか。
途中まではダブルヒロインの一人として頑張ってたのに、終盤で自ら敗北を認めてフェードアウト。
振られることは確定だったとはいえ、積み重ねを考えれば告白すらさせてもらえずというのはあんまりでは。