姉と妹の下着事情。   柚本悠斗(GA文庫)



ブラジャー作りに情熱を滾らせる主人公と美少女三姉妹が織りなす青春煩悩系ラブコメディ。
とにかく主人公の胸に対する愛情の突き抜けっぷりが凄い。客観的に判断すると変態以外の何者でもないのに
一周回って格好良いんじゃないかと思えるレベルのブレなさ加減が見ていて気持ちいいです。
ちなみに、題材の都合上肌色率は高めですが、主人公の性格ゆえに不思議といやらしさは控えめ。
なお、この作品を読むとブラジャーに詳しくなれます。日常生活には使えない豆知識でしかないですが。
ラストは、様々な苦難を乗り越え、そして未来への一歩を踏み出して―――エンド。
ラブコメ的には恋愛感情をハッキリ自覚するまで選択は保留してほしいと主人公が宣言して終了。

主人公は胸を愛し、下着作りに青春を捧げる高校生の少年。
物心ついた頃から女性のおっぱいに多大な憧れを抱き、おっぱいを守りたいという決意から
女性下着メーカーでブラジャー開発に携わりたいという夢を持つようになった。
が、その情熱ゆえに女性の判断基準が顔や性格ではなく、胸に偏りまくっており、自分の心に素直なため
客観的には変態以外の何者でもない。しかし、胸が関わらないところでは面倒見が良い性格であり
また、他人のために本気で怒ることができる優しさと男気を持ち合わせている。

ヒロインは勝気素直な三女、大和撫子な次女、責任感の強い長女、子犬系な従妹、小悪魔な幼馴染。
一番のお気に入りは創作被服部の次期部長にして服部家次女な同級生、服部羽織。
やや色の薄いサラサラのセミロング、すらっとした手足、可愛らしい下がりめの瞳。
そしてDカップの胸と完璧なスタイルバランスを有する笑顔の似合う大和撫子な美少女。
言葉遣いや所作は上品そのもので、性格も穏やかで優しく控えめ。誰に対しても分け隔てなく理解を示し
その上、人を見る目があるため部員や実家の従業員たちの誰からも信頼されている。
また、家事全般も完璧であり、お嫁さん適性は最高。ただ、少し妄想癖があり、怒ると怖い一面も。

評価はC。
誠実な変態という難儀な主人公のキャラが良くも悪くもこの作品の全てだった印象。
個人的には、ブレない熱意をこれでもかとばかりに主張する姿には好感を抱けましたけどね。
ヒロインたちに関しては、不器用で、それでいて内面から滲み出る可愛さがそれぞれ魅力的でグッドでした。
あと、タイトルや主人公の尖りっぷりに反し、真面目な展開が多めなのもギャップがあって良い感じだったかと。
本筋はおっぱいと下着という色物要素を軸に置きながらも、将来の夢や家族の絆を上手く絡めることによって
不快感を覚えない、後味爽やかな青春物語に仕上がっていたと思います。
まあ、肝心のラブコメのオチが「まだ選べない」だったのには正直拍子抜けしてしまいましたが…
悩んだ末の結論ですし、言及されずに有耶無耶なまま終わるよりかはマシではあったんですけどね。