騎士王候補の守護執事 伊藤ヒロ(GA文庫)
少女の夢を叶えるため、少年執事が無双する学園下剋上バトルストーリー。
人類の天敵たる存在、人々を守護する騎士を育成する学園、特異な力を持つ主人公、最強の生徒会長。
そして入学早々の決闘、と典型的な学園異能バトルものの要素が揃えられています。
ツーマンセルバトル制は珍しいですが、基本単独で戦う主人公にはハンデにしかなっていない気が…
ラブコメ面は主人公がメインヒロインの護刻寺サツキ第一主義すぎて、他ヒロインが不憫すぎるのがツライ。
しかも今のところ、お互い恋愛感情自体はないのだから尚更酷い話である。
主人公は主の悲願を叶えるために奮闘する少年執事。
顔立ちは整っているのだが、表情が極めて乏しく、無口で口元は常に真一文字、眼光は鋭利と
怖さと冷たさを感じさせる風貌をしているため、周囲からは「いかにも執事らしい執事」と言われている。
しかしそのイメージは誤解で、実際は無愛想で感情が表に出にくいだけの、温厚で照れ屋な普通の十五歳。
それどころか、料理と園芸が趣味であったりとむしろ男子としては度を越して家庭的なタイプだったりする。
なお、戦闘力や気配りという点では優秀ではあるものの、料理は下手。
ヒロインは天真爛漫な主少女、猫耳クラスメイト、最強生徒会長、スケバン級長。
一番のお気に入りは皆が憧れる美しき生徒会長、瑪皇九頭子。
長く艶やかな黒髪に、透き通るような白い肌、切れ長の目と見た目は和風美人そのものなのだが
普段は常に凛々しく、唇もきりりと真一文字、決して緩ますことはない仏頂面をしており
また、その立ち振る舞いには上に立つ者特有の孤高の尊大さと威圧感、そして冷酷さがある。
ただ、主人公の前でだけは、少女らしい笑顔を見せたりと、彼に対して特別な感情を抱いている模様。
現時点(二巻)においての評価はC。
描くべきことをシッカリと描いている、手堅く、安定した作品だと思います。
ただ、肝心の主役コンビのアクの強さが読み手を選ぶ感じでしょうか。
サツキは精神的には大物だけど、肝心なところ以外では役立たずすぎて大言壮語がどうしても鼻につきますし
その寛大さは敵対者までをも受け入れてしまうので、バトル後のカタルシスに欠けるんですよね。
そのため、そんな彼女に付き従う主人公の滅私奉公っぷりもイマイチ共感しにくいですし。
最終的な目標を考えれば、二人のキャラは正しいですし、プラスに働いている部分もあるのですが…
明確な悪の出てくる物語の主役としては、個人的には不満のほうが強い印象。