紙透トオルの汚れなき世界　　　石川ノボロヲ（講談社ラノベ文庫）



世界を変えようとする少女と、それを止めるべく動く少年の恋と未熟と不思議が交差する学園青春ストーリー。
異能要素が前面に出ていますが、バトル要素はなく、基本的にはラブコメに重点が置かれています。
とはいえ、その恋愛模様のこじれのせいで世界の危機が訪れたりもするのですが。
しかし主人公の天然ジゴロっぷりが凄い。流石名前が某ハーレム漫画の主人公と同じだけはある。
ストーリーのポジション的にはむしろヒロインだというのに。まあだからこそ面白いのですが。
ラブコメ面は二巻にて曾々木小夜子と結ばれ、事実上ヒロインレースは決着。

主人公は中二病の兄と、だらしのない父親に頭を痛めている榊野学園一年生の少年。
明るく朗らかで笑顔が多く、感情豊かでお人よし。また、頭はいいのにどこか抜けたところがあり
礼節を弁え、高いコミュニケーション能力を持っていることから、友達は多く、教師からも好かれている。
困った時は笑っておけばなんとかなる、が人生哲学。
イケメンコンテストで入賞するほどのベビーフェイスで、実は特定の男子からも人気がある。
神頼みを好まず、欲しいものや叶えたいことは自分でどうにかしてしまうタイプ。

ヒロインは不遜な白髪少女、クールビューティーな同級生、ほわほわお嬢様、文武両道な先輩。
一番のお気に入りは読心の異能を持つ榊野学園一年のアイドル、曾々木小夜子。
胸こそ慎ましいものの、色白で小顔、足がスラリ長いと三拍子揃った美少女で
人前では朗らかで愛想がよく、女の子女の子した性格だが、それは猫かぶりでしかなく
素は冷淡でＳ気質（＋誘い受け）で計算高いクールビューティーだったりする。
また、読心という異能を持つがゆえに、自身に向けられる欲望には悟ったような態度を取るが
その実、自分に自信がなく、好きな人に対しては独占欲が強い上に嫉妬深かったりとヤンデレ気質持ち。

現時点（二巻）においての評価はＣ。
テーマが「家族の崩壊と再生」なだけに、すれ違いなどのシリアス要素が盛り込まれていますが
主人公が明朗で場を和ませてくれる性格なおかげで、あまり重さを感じることはありません。
二巻の「ラブコメ主人公の功罪を問う」編では打って変わって重い展開増し増しでしたが…
というかこの主人公、コミュ力高すぎである。ヒロインはおろか男まで落とすとか魔性すぎｗ
まあ、その分ヒロインたちが面倒臭いキャラをしているのでバランスは取れているのですが。
本筋は二巻で全ての謎を回収し、完結かと思いきや作者さんは三巻を書く気があるようで…？