電波な女神のいる日常   望月唯一(講談社ラノベ文庫)



神様美少女とイチャイチャ同居生活なハートウォームラブコメディストーリー。
拾った人外美少女と一つ屋根の下で同居生活。ラッキースケベやドキドキ接近イベントも満載。
そして、クライマックスでは少々のシリアスこそあれど、全体のノリは明るく軽め。
と、正にラブコメの王道を行く構成になっており、安心してサクサクと読むことができます。
ラストは色々あったけれど、これからも電波な女神のいる日常が長く続くことを願うのだったエンド。
ラブコメ的には三角関係成立未満のまま、特に進展なく終了。

主人公は拾った女神セレナの信者となり、彼女と同居することになってしまった少年。
本編では、実家が全焼したことから、ボロアパート暮らしと貧困生活を強いられている。
己の身を削ることになったとしても、困っている人を見捨てられないお人よしな性格で
加えて、余裕があるならその分だけ無理を重ねてしまうという自己管理のできないタイプ。
この性分は、過去に幼馴染の美桜を見捨ててしまった後悔が根源になっている。

ヒロインは芸能の女神、万能な幼馴染。
一番のお気に入りは学園長の孫な万能お嬢様幼馴染、成瀬美桜。
涼やかな目元と薄い唇、人目を惹く華やかさのある顔立ち、長い黒髪、均整の取れたプロポーション。
更に、優秀な成績と聡明さ、空手の実力、学園創始者の一族という権力を持ち合わせた万能美少女で
簡単には自分を譲らない、人の心配はするのに、人に心配されるのが大嫌い。
と、根は優しく面倒見も良いのだが、気が強く、頑固で意地っ張りな性格をしている。
弱点は爬虫類系の生物。

評価はD。
挿絵効果を加味したヒロインたちのふとした瞬間の可愛らしさや、ニヤニヤできるイベントの数々など
光る部分があるのは間違いないのですが、各巻クライマックスの無理矢理感と拙速さ。
あと、タイトルがほとんど活かされていない点が読む上でかなり引っかかってしまう作品でした。
セレナが本物の女神である以上、素性を隠す気なく喋っているのを「電波」呼ばわりするのは少々無理があり
長命なだけで、大した異能も使えない「女神」設定も意味が薄いようにしか見えなかったわけで…
本筋も最終巻は新キャラが目立っただけで「え、ここで終わるの?」って感じの終わり方でしたしね。
ラブコメは本格化せず、主人公も道を見出せぬままと、注目点の区切りも中途半端でしたし。
なんというか、最初から最後まで全ての点で一味以上足りないままだった、という印象。