異世界支配のスキルテイカー   柑橘ゆすら(講談社ラノベ文庫)



百人の奴隷ハーレムを目指す少年の、後に異世界で「支配者」と呼ばれるまでの物語。
異世界召喚、主人公最強&チートスキル、奴隷ヒロイン、とネット小説のテンプレが詰め込まれている作品。
また、冒険者ギルドやステータス画面表示能力の存在など、ゲーム性が強い世界観なため
読みやすさという点でも文句はなし。ただ、システム的過ぎるせいで文章に少々くどさを覚える印象も。
ラストは邪神を倒し、その力を得て魔王となった主人公は今日も騒がしい日常を送るのだったエンド。
ラブコメ的には奴隷百人ハーレムを完成させ、次なる目標は学園でJK百人ハーレム! で終了。

主人公はある日異世界に召喚された自称何処にでもいるごくごく普通の男子高校生。
千年に一人の逸材と称されるほどの武術の天才であり、幼い頃から「近衛流體術」を学ばされていた。
ルックス自体は中の上だが、黒髪黒眼であるため、異世界においてはハイレベルな美男子扱いを受けている。
ポジティブ&型破り、そして行き当たりばったりな性格で、ややSっ気あり。
同時に、状況適応力の高さと抜け目なく物事を考えられる理知的な面を併せ持っている。
異性に対しては祖父の教えから「可愛い女の子には優しく、そうでない女子はまあそれなりに扱う」な主義。

ヒロインは元騎士奴隷、M系ライカン奴隷、オレっ娘な姉ケットシー奴隷、マイペースな妹ケットシー奴隷。
女子高生風魔王、現地妻なケットシー村長、猫耳忍者娘、謎めいた受付嬢、ドSなアサシンメイド。
一番のお気に入りは主人公が二番目に得た奴隷ヒロイン、シルフィア・ルーゲンベルク。
高名な騎士の家庭で生まれ育ち、剣術・槍術・馬術・学問など各領域において卓越した才能を持ちながらも
己の才能に溺れることなく、何に対してもひたむきに努力できる誰もが認める才媛だったのだが
国が戦争に敗れたため、奴隷として売られることになってしまったという過去を持つ。
性格は気が強く、義理堅く、誇り高く、一度主と認めた相手には絶対の忠義を向ける、と実に女騎士的。
なお、厳格な騎士の家庭で生まれ育ったがゆえに、男や色恋に対する免疫は全くないのだが
実は他人からいじめられるのが大好きというドM性癖の持ち主だったりする。バストは推定Jカップ。

評価はD。
過積載にもほどがある主人公のチートっぷりが、正に向かうところ(ほぼ)敵なしで爽快感抜群。
ヒロインたちはチョロ可愛いですし、直接的なお色気描写も多めと眼の保養もバッチリ。
ただ、ご都合主義な展開が多すぎるがゆえに、話がやや薄っぺらくなってしまっているのが難点でしょうか。
本筋は最終巻が巻き展開過ぎるというか、クライマックスだからこその情緒がなさ過ぎて正直呆然の一言でした。
唐突に超成長イベントが発生して短期間でラスボスを圧倒できるくらいに強くなり、そのラスボスとの戦いも
たまたま偶然から顔を合わせ、相手が襲い掛かってきたから倒した、という適当極まりない形でしたし…
いやまあこの作品のメインはあくまでヒロインたちとのイチャエロだから、他はおまけ程度でいいのでしょうが…