国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ ツカサ(富士見ファンタジア文庫)
世界を殺す力を手にした少年の、運命と世界への叛逆革命戦記。
主人公の確固たる叛逆の意思を軸に、学園生活、巨大人型兵器、魔法バトルといった
それぞれの要素が一本の線として繋がっており、入り込みやすい世界観が構築されています。
また、きちんと段階を踏んで話が展開するので、内容を理解しやすいのもグッド。
ラストは目標への足場固めも終わり、俺たちの戦いはこれからだ! エンド。
ラブコメ的には婚約者が確定したものの、女の戦いは始まったばかり、な感じで終了。
主人公は世界を変えるための力を手に入れたエルファレス国第三皇子。
四年前から人質に出されており、その苦労からかかなり目つきが悪く、性格も図太く、ふてぶてしい。
更に、普段の態度も飄々としているため、何を考えているのかわかりにくいタイプでもある。
しかしその胸の内には、情を優先しながらも王族として非情な決断ができる強かさを秘めている。
能力的には学生としては優秀な部類に入るも、突出したものがなく、頭で差を埋めるスタイル。
ヒロインは純粋無垢なホムンクルス、幼馴染の生真面目騎士、貴族令嬢な級友。元刺客な双子姉妹。
人当たりがいい委員長、婚約者な姫君。あとは血縁上叔母な妹も候補っぽい?
一番のお気に入りは戦略級魔術の使い手なクラスメイト、ミラ・ルビーレッド。
学生の身でありながら正式な軍階級を持っており、家柄も名門の大貴族とエリート中のエリート。
そのため、物言いは丁寧で真面目な性格ではあるものの、やや自信家で尊大なところがあり
相手にキツめの印象を与えることが多い。だが、仲間への情が厚いなど、根はツンデレ的に優しい。
評価はC。
とっつきやすい世界観と、複雑すぎないキャラ相関図からなる物語としての完成度と安定感はお見事。
キャラに関しては、主人公が事あるごとに「正解」に拘り過ぎているのが少々引っかかりましたが
意外に強かで現実的な割りきりができるタイプなのが新鮮でした。
ヒロインたちも、それぞれ面倒な背景持ちの割に年頃の女の子してるところが可愛いかったですし。
ただ、肝心の本筋のほうは二巻打ち切りということで、本格的に話が動く前に完結。
一応一区切りついた形にはなっていたものの、物語としては幕が開いた瞬間に閉幕という残念な結果に。
ストーリーもラブコメ的人間関係もさあここからだ! というところだっただけに生殺し感が…