アスガルド武皇戦記 鏡遊(富士見ファンタジア文庫)
五大国の騎士姫たちが相争う大陸を舞台にしたファンタジー戦記物語。
戦記と銘打ってはありますが、将個人の力量が極端に重要視される世界観な上、大陸共通の敵である
異形の勢力が常の脅威として存在しているため、戦記というよりも英雄物語の色のほうが濃いです。
なお、主人公は世界で唯一騎士姫(ヒロイン)たちを強化できる特異な力を持っていますが
お約束通り、その方法はエロ要素含みのお触り(というか愛撫)ということでお色気シーンはバッチリ。
ラストは武皇となった主人公が異形の敵の王と皇を倒し、戦乱に終止符を打ったのだったエンド。
ラブコメ的には五人の騎士姫を全員妃に置くハーレムエンドで終了。
主人公は修行の旅から帰ってきた人間国の錬武士の少年。
大陸でも有数の武を有しているが、功名心や出世欲は特になく、むしろ目立つことを避けている。
飄々と落ち着いた性格で、危険な戦場でも慌てることなく冷静に状況に対処することができ
また、相手の身分や所属を問わず、誰であっても怯まないマイペースさの持ち主。
その一方で、幼馴染を救うために一人旅に出て、魔境にまで足を運ぶという無鉄砲な部分も。
幼い頃から修行漬けの日々を送ってきたためか、女性全般が(嫌いではないが)苦手。
ヒロインは幼馴染な騎士姫、婚約者なエルフ姫、義妹な魔族姫、義姉なドワーフ姫、仇なダークエルフ姫。
一番のお気に入りは必中の魔弓を操るエルフの騎士姫、エレノール。
金色の髪に真っ白な肌の美少女で、その美貌は美形が多いエルフの中でもずば抜けている。
その可憐な見た目に違わず、普段はおっとりお淑やかで言葉遣いや物腰も上品と
騎士姫の仲では一番戦士らしくないのだが、敵には口が悪く、戦場や色恋関係では大胆かつ強気なところも。
主人公とは三年前に出会い、紆余曲折を経て婚約の儀式を交わした仲(主人公は知らない)だったりする。
趣味は薬草茶(まずい)の調合、苦手というか、憎んでいるものは巨乳。あと、性癖的にはM。
評価はC。
容赦なく人が死んでいく殺伐とした世界観ではありますが、あまりシリアス一色という感じはしませんでした。
戦乱の世ではあっても、各国の首脳と主人公が親しい関係であるためほのぼの感が多分にありますし
それに加え、頻繁にヒロインたちのお色気シーンが挟まれているので、重い空気はかなり払拭されていた印象。
反面、進行優先で情報が小出し後出しばかりになっていたため、話に入り込みにくいのはややマイナス点。
キャラに関しては、ファンタジー戦記のヒロインたちに現代学園ハーレムラブコメのテンプレな属性をつける
という発想が個人的には面白いと思いました。その分、主人公のキャラ付けは可もなく不可もなくでしたが。
本筋はやるべきことを全てやった上での完結だったので、話そのものは綺麗に纏まっていたのですが…
最終巻での敵幹部一掃や、ヒロイン三人一気攻略、ラストバトル二連戦のあっさりとした描写など
打ち切りゆえの悲しさが目立つ駆け足展開になっていたのが本当に残念でした。