まわせっ!課金戦乙女のヒルデさん   日の原裕光(富士見ファンタジア文庫)



現世にやってきた戦乙女がソシャゲにはまって廃課金兵に!? なノンストップ課金系コメディ。
本来、気高く誠実に世界を救う使命を遂行するはずだった戦乙女が廃人に堕ちてしまい
騒動を巻き起こすというギャップのあるパロネタ含みのコメディ展開が読んでいて実に笑えます。
まあ、ただでさえ貧乏暮らしなのに、生活費が圧迫される主人公からすれば笑い事ではないのですが。
というか、この内容ならおまけ程度とはいえバトル要素はいらなかったのでは…?
ラストは敵対神族の野望を打ち砕き、そして今日も廃課金行く早乙女との日々は続いていくよエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのヒルデと結ばれて終了。

主人公は四畳半、風呂トイレ共同のボロアパートで暮らす高校生。
良く言えばお人よしの善人。悪く言えば安い性格をしており、甘やかしが過ぎることが多い。
女の子への興味は人並みにあるが、肝心の自身に好意を寄せてくる相手の気持ちにはかなり鈍感。
自他共に認めるオタクだが、過去に親のカードに手を出してしまった反省から課金はしない主義。

ヒロインは生真面目戦乙女、おっとりお姉さん戦乙女、腹黒ロリ戦乙女、気さくな幼馴染。
特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

評価はD。
ノリの軽さと勢い重視の作品。おかげでサクサク読めるものの、話の中身は相応に薄かったです。
しかしお約束ではありますが、お人よしな主人公が世間知らずのヒロインに迷惑をかけられ、損害を被り
それでもなんだかんだで受け入れてしまうという善人損な構図はどうにかならないのだろうか。
コメディ風の描写が不快感を軽減し、主人公当人もそれほど苦に思っていないとはいえ
マイナスとプラスの釣り合いが取れていない関係はキャラの株を下げますし、共感しにくいのですが…
本筋は一応オチのつく形で纏まってはいたものの、やはりソシャゲとパロネタが軸になっていたがゆえに
全体的にグダグダ感と一発ネタを無理矢理続けた感が強すぎて、シナリオ性はほぼ皆無だった印象。
ラブコメにしても、ヒルデ以外のヒロインはフラグは立てどもかませにすらなれずに終わっちゃいましたし。