正捕手の篠原さん 千羽カモメ(MF文庫J)
四コマ漫画を読んでるような気分になる、世にも珍しい二ページ完結型のショートショートほのぼの野球部コメディ。
なんというか、奇をてらってるのはわかるのですが、この構成に意味はあるのかなぁというのが正直な感想。
方向性としてはよくあるトーク部活系の話と大差ないですしね、二ページ完結といっても前後の繋がりはありますし。
まあ、運動部ならではの要素もあるので目新しさはありますが。
内容のほうは特にひねりもないですが、部員同士の会話が楽しいですね。
ラストは王道の「いざ決戦へ。俺たちの戦いはこれからだ!」エンド。
どう見ても打ち切りですが、試合以外の部分がメインであるこの作品的には、正しい終わり方ではあると思う。
ラブコメ的には、それぞれの立ち位置を改めて認識し、これからが本番!みたいな感じです。
なんかあだち充作品っぽい終わり方でした。
主人公は頭脳明晰な野球部員(実質的なキャプテン)でポジションは捕手。
理系型で常識人なため、破天荒な周囲に振り回されることが多い、いわゆるツッコミ役。
ただ、本人は天然なところがあるためにあまり堪えてはいない模様、むしろ逆に周囲を振り回すことも。
野球選手としてはそれなり以上のようだが、プロではなく教育関係の官僚を目指している。
ちなみに好物は餃子。そしてムッツリスケベ。
ヒロインは男装エース、変人幼馴染お嬢様。
恋愛に絡まないサブポジションに構ってちゃん妹、天才ソフトボール少女、へっぽこ顧問教師がいます。
マネージャーじゃなければ基本女人禁制の野球部ものでどうするんだと思いきや普通に女の子が多い。
まあ、試合に出なけりゃいても問題ないわけだから別にいいのだろうけど。
一番のお気に入りは男装のエースピッチャー、綾坂真琴。
家の方針で女性として野球が出来ないため、兄と入れ替わり女性であることを隠しながら投手を続けている。
ちなみに胸はさらしで抑えているが、日々どんどん大きく成長しているため隠しきれてない。
挿絵を見る限り、どう考えてもバレバレだろと思うのだが、周囲は何故か気がつかない模様。
文武両道で見た目も良いため、女の子にモテモテ。でも本人は当然嬉しくはない。
普段はクールでさわやかな態度をとっているが、実はかなりの純情乙女。
なので相方である主人公のスキンシップ(胸を叩かれる)に動揺ばかりする毎日。
評価はC。
着想と内容は結構楽しめただけに、三巻という短さで終わってしまったのが非常に残念。
二ページ完結という特色も、最後まで活かされなかった気がしますし。
特に重い話もない日常系の構成であるがゆえに、ダイレクトにヒロインが可愛いかったのはよかったんですが。
締めに関してはああするしかなかったとしても、そこに至るまでもっとイベントを盛り込んでほしかった。
続いてさえいれば、もっといろんなことがやれたと思うんだけどなぁ。
しかし一巻二巻がゆるゆるな雰囲気だっただけに、最終巻でいきなり真面目な青春スポコンになったのは驚きました。