ケイサル;ブレイズ 十月ユウ(富士見ファンタジア文庫)
閉鎖された学園で巻き起こる、剣と刃のアクションファンタジーストーリー。
分類としては学園異能バトルものになりますが、異能の元となる呪いの武器に付与されている
設定がかなりえげつないため、コメディ要素こそあれど、全体的な雰囲気はやや暗めになっています。
バトル描写も、物理が主体であるせいか緊迫感と生々しさが強い感じになっていますし。
まあ、同時に主人公の不殺主義や適度なお色気シーンの存在がライト感を出してはいるんですけどね。
ラストは、呪われながらも呪いに負けない主人公たちの活動は続いていくよエンド。
ラブコメ的には環境こそハーレム状態ではあったものの、特に進展のないまま終了。
主人公はやる気ゼロで、身体能力は人並み以下と生徒会最弱な生徒会長。
顔立ちは整っており、モデルでも通用しそうな欠点のない細面の持ち主だが
いつも生気に乏しい虚ろな瞳をし、気だるげで覇気にかける態度を取っているため、浮いた噂は皆無。
ただ、危急の時に見せる飄々とした不敵さ、頭の回転と観察力を活かした読みの的確さは一級品であり
ヒエラルキーこそ最下層ではあるが、なんだかんだで生徒会の面々から好かれている。
やる時は徹底的に、執拗に、完璧にやる性質なため、敵に回してはいけないタイプ。
ヒロインは尊大な監査委員長、解呪師な副会長、天真爛漫な会計、セクハラ幽霊な書記、ドMな女王様。
一番のお気に入りは兄の敵討ちのために監査委員長へと就任した転入生、御前織華。
品のいいカチューシャをつけた艶やかな黒髪と、恵まれた天性と環境の両方を想像させる気品のある美貌。
そして、豊かな乳房が目を惹く非の打ち所がない抜群のスタイルを持つ和風美少女だが
その言動は尊大かつ傍若無人であり、人身掌握能力こそ高いものの、素直さに欠け、コミュ力は低め。
そのくせ、仲間はずれにされたり無視されたりすると構ってちゃんになるウザ可愛い一面も。
剣道の有段者で全国大会での優勝経験あり。また、柔術の心得もあるなど、直接戦闘力が高い。
評価はC。
普段は昼行灯だけど、事あれば底知れぬ凄みを発揮する主人公が作風にマッチしていて良い感じでした。
正面突破の一撃必殺ではなく、知略・物量・奇抜さを重視した戦闘方法も中々新鮮でしたし。
ヒロインたちも、主人公を軽く扱いながらも節々で信頼や好意を寄せていることが伝わってきましたし
何より、主人公を中心とした生徒会という集団の醸し出す和気藹々とした雰囲気が良かったですね。
本筋はラスボスになると思われる因縁の相手(前生徒会長)が登場し、いよいよ話が大きく動きそう!
といったところでの完結と、典型的な打ち切りエンドだったわけですが、この切り方は流石に酷すぎである。
滅茶苦茶先が気になるのにそれが読めないとか。掘り下げ回をもらえず終いの主要キャラもいましたし…