はぐれ魔剣士と共鳴少女隊   来生直紀(富士見ファンタジア文庫)



元英雄とお嬢様のチームが織り成す、刺激的接触バトルアクションストーリー。
魔力を持つが魔法を使えない少女たちと、魔法は使えるが魔力を封印されている主人公。
そして、魔力を吸収するためには少女たちの体に直接触れ羞恥を感じさせなければならない。
というラブコメ&エロ展開への相性抜群の設定が実にあざと素晴らしいです。
まあ、基本的に事が一刻を争う状況ばかりなので、ロスが大きすぎではと思わないでもないですが。
ラブコメ面はチームの内訳が男一人女三人ということで、今後の発展に期待。

主人公は魔法大国ユナイツの出身にして、魔法を使えない魔放士。
母国ではかつて英雄と呼ばれていたが、現在は囚われの妹を助けるためにアマテラスの衛士に。
軍人経験があることから、常に冷静で大人びた態度をとっており、自身に向けられる悪意にも慣れている。
しかし、仇を前にすると激高したり、異性との交流には不慣れだったりと、感情が枯れているわけではない。
また、理不尽に対しては毅然とした態度で抗うタイプでもある。

ヒロインはツンデレお嬢様、おどおど系お嬢様、武士っ娘お嬢様。
一番のお気に入りは脳波コントールに優れた中距離戦担当の少女、五菱小羽。
身分の高さ、見目麗しさ、天使のように心優しさから、男子からの人気は絶大。
実に八百人を越えるファンが存在している。が、当の本人は気弱でおとなしく、引っ込み思案で
恥ずかしがり屋で男子が苦手な性格なため、特別扱いされることをあまり好んではいない。
ただ、意外に大胆で積極的な一面を持っており、清純な見た目とは裏腹に根は結構エロい?

現時点(一巻)においての評価はC。
読みやすくはあるものの、これといったインパクトがなく、読後に物足りなさを覚えます。
一応戦争中という設定なのに、切迫感や悲壮感がイマイチ文章から伝わってきませんし
日常パートも、中途半端にお色気描写が目立っているせいでヒロインの魅力が薄められている気が。
主人公にしても、元英雄の凄みというプラス面よりも、制限の厳しさや精神的な未熟さといった
マイナス面のほうが目立っていて存在感や爽快感に欠けていますし…
まあ、幸い物語上の目的はハッキリしているので、本筋がグダグダになることはないでしょうし
ポテンシャルの高さはうかがえるので、今後の飛躍に期待したい作品ですね。