神装都市の無刃聖機士　　　小山タケル（富士見ファンタジア文庫）



不抜の剣士が学園で頂点を目指す新世代学園バトルアクションストーリー。
かつての英雄にして、現在は力を封印されている主人公。物語開始早々のヒロインとの決闘騒ぎ。
人類に仇なす異形の敵、不穏な人類上層部、テロリストの陰謀、学生同士の武を競う大会。
と、主人公最強＆学園異能バトルもののテンプレ要素を詰め込みました系の作品です。
テンプレであるがゆえに展開が読みやすく、話に捻りもありませんが、その分読みやすさと爽快感は抜群。
ただ、設定が雑というか、微妙に活かされていない感があるのが難点ではありますが…
ラブコメ面は主人公が異性に物怖じしない性格ということもあり、明確に優勢なヒロインは今のところいない様子。

主人公は信仰値が常に０の無刃の聖剣使い。
誰に対しても飄々と無礼でふてぶてしい態度を崩さず、周囲の雑音にもまるで動じない肝の太さを持ち
その上、小難しいことを嫌い、面倒臭がり、スケベで巨乳好き、顔は強面、自分の服装にも無頓着。
と、一見するとダメ人間そのものだが、その実、たとえ世界を敵に回しても大切な者を守ろうとする意志の強さ。
そして、絶望的な状況下にあっても瞬時に正気を分析する冷静さと的確な判断力を兼ね備えている。

ヒロインは乙女な仮面優等生、毒舌ブラコン妹、子供っぽい女神、優雅な生徒会長。
あと、クールな級友、問題児な先輩、腹黒な学院長がヒロイン昇格候補でしょうか。
一番のお気に入りは謎めいた態度を見せる生徒会長、カタリナ＝オーヴィアス＝メルシルク。
上品な立ち振る舞い、丁寧な物言い、そして並外れた美貌から、まさに深窓の令嬢という言葉がピッタリな少女。
まだ二回生の身でありながら学術、実技ともに飛びぬけた成績を誇り、都市内では
「もっとも聖機士に近い人物」とまで言われているが、どこか底知れないところがある。
何故か初対面であるはずの主人公のことを気にかけており、小さくない好意を寄せている。

現時点（三巻）においての評価はＣ。
普段は怠惰で誰にも媚びない無礼者ながら、ハッキリ一本筋の通った主人公がいいですね。
妹のために世界を敵にしても戦う、という信念もわかりやすいですし、見ていて気持ちいい。
ヒロインも、メイン格の二人こそ感情的過ぎるきらいがありますが、デレの描写はあざと可愛いですし。
まあ、敵味方含めて小物っぽいキャラがやたらと多いのは少々辟易気味ではありますが。
本筋は大会の対戦相手、凶悪な化物、テロ組織、そして世界そのものと主人公の敵が多すぎですが
だからこそ、それらを全て蹴散らしてのカタルシスに期待したいところ。次巻からは戦争が始まるようですが…？