蒼鋼の冒涜者 榊一郎(HJ文庫)
異世界に転生したガンマニアの青年による、銃×剣バトルファンタジーストーリー。
横暴で外道な宗教組織、地方の因習、危険な怪異の存在など、世界観はシリアス色が強め。
日本の普通の高校生が異世界にチート能力を持って転生、とストーリーの大元は割とテンプレ通りですが
主武装がガンブレードだったり、いきなり神殺しをしたりと、設定や展開には結構目新しさがあります。
ラストはヤンデレ化して敵に回った姉を倒し、俺たちの戦いはこれからだエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのダーシャと結ばれて終了。
世界観と主人公の立場を考えると、他ヒロインにもチャンスは残っているとは思われますが…
主人公は異世界に転生した現代日本の元高校生にして、教会が布教用の道具として造った人造人間。
長身痩躯によく整った顔立ち、そして何処か涼しげな印象を見るものに与える外見をしている。
触れた物質の「在り方」を自由自在に弄ることができる能力を持ち、肉体の能力全般もハイスペックと
戦闘能力が文字通り人間離れしており、普段の態度も圧倒的な実力を裏付けるように不遜で悪態つきだが
美少女に迫られて心乱れたり、理不尽に怒る正義感を見せたりと、精神力は年齢相応。
ヒロインは狙撃手な相棒、聡明なお嬢様、純朴な生贄巫女、童女な地神。
一番のお気に入りは主人公の転生体を造った錬金術師の妹な眼鏡っ娘、ダーシャ・ウルバン。
良く言えば素朴で滲み出るような愛らしさがあるが、悪く言えば人形めいた雰囲気を持っており
実際、いつも無表情で無愛想な上、言動も淡々として、自分自身に対してもかなり無頓着。
また、頑固で弱音を吐くこともないので、倒れる時はいきなり倒れてしまうタイプだったりする。
とはいえ、頭を撫でられて喜んだり、意外に嫉妬深かったりと、決して感情がないわけではない。
知識はあるが実践はサッパリの頭でっかちで、臨機応変さに欠けるところも。
評価はC。
主人公がチート能力持ちなため、戦闘シーンにおける強者っぷりが実に格好良く、爽快感がありました。
ヒロインたちも全員不快さを感じるような欠点がないため、素直な可愛らしさを感じられましたし。
ただ、転生から旅に出るまでの過程をほとんど伏せたまま、旅をしている最中からのスタート。
という構成は少々感情移入がしにくいのが難点でしたね。演出上の都合だというのはわかるのですが…
本筋は話に一区切りこそついてはいたものの、主人公がようやく攻勢を決意し、これからが本当の戦いだ!
といったところでの終了と、典型的な打ち切りエンドだったのが実に残念。
敵側の勢力はまだまだ強大な上、黒幕とは対面すらしていないから滅茶苦茶不完全燃焼でしたし…