クロス†ウィザード しきや(HJ文庫)
壁に囲われた孤島にある都市を舞台にした、魔術バトルアクションストーリー。
主人公がダークヒーロー系の話ですね。人もガンガン死にますし、世界観もガチ気味です。
とはいえ、殺伐シーンは結構あっさり目の描写になっているため、額面ほどのバイオレンスさは感じないかと。
特徴的な点としては、魔術設定が結構細かく、しかしわかりやすい風になっていることでしょうか。
きちんと設定が展開と連動しているので、設定倒れにならず、話の完成度を高めていますし。
ラブコメ度は今のところ薄め。ヒロイン側は好意があるそぶりを見せてはいるのですが…
主人公は高校生ながら罪を犯した魔術師を狩る裏の仕事を持つ少年。
どちらかといえば中性的な顔立ちをしており、体躯も華奢であるため、女装が似合う模様。
ひねた性格で口も悪く、協調性もなくぶっきらぼうと人当たりが悪く
また、ものぐさで生活習慣も滅茶苦茶と、一学生としてはかなり不良っぽかったりする。
ただ、根はツンデレ気質なのか、関わった相手に対しては面倒見がよいところも。
ヒロインは居候な後輩、仕事仲間な隣人。
一番のお気に入りは「風神」の異名を持つ情報収集&管理担当の隣人、真野紗月。
どこか冷めた印象を他者に与えるタイプの少女で、見た目も正にクールビューティーなのだが
学校をよくサボったり(成績は優秀)と生活態度はかなりズボラ。
特に主人公に対しては、色仕掛けと称してだらしない姿を見せることもしばしば。
普段の態度も偏屈で気分屋と、人を食ったような性格をしている。
現時点(一巻)においての評価はD。
起承転結がシッカリしており、設定を活かした展開作りもバッチリとストーリーの安定感は抜群。
ストレスのたまる要因になりがちな「生死のかかった場面で感情論で動いて迷惑をかけるキャラ」を
「想いの強さに比例して力を上げる魔術」でフォローしているのも構成的に上手い。
ただ、ダーク系の設定の割に、主要キャラに甘い部分が目立つのが折角の空気感を損なっている印象も。
一巻を読んだ限りでは先の展開は読めませんが、個人的には主要登場人物のキャラ立ちが
不十分な感があるので、次巻以降はその辺にも注力して欲しいですね。