恋をしてはいけないゲーム、振られてもきみに恋をする   七烏未奏(MF文庫J)



世界の命運をかけた恋のゲームに巻き込まれてしまった少年と、彼に好意を抱く少女たちの物語。
主人公に物語開始時点で好きな人がいるという、複数ヒロインものにおける無理ゲー設定を
超常現象のゲームという形で強制的に成立させる世界観が凄い、そしてえげつない。
ハーレム環境なのに惹かれ合ってキスしたらバッドエンド確定とか悲惨すぎる…
そのくせラッキースケベ&ラブコメイベントは頻繁に起こるのだから、読み手からすると喜べばいいのか
羨ましがればいいのか、はたまた戦々恐々とすればいいのか、実に悩ましいところです。

主人公は世界の行方を占う「アカイイトゲーム」に参加することになった少年。
感傷的な自分を極力排除して、機械的に物事をこなそうとする、いわゆるゲーム脳の持ち主。
ただ、冷めた態度の割には押しに弱く、女の子慣れもしておらず、人に頼ることが苦手であり
また、主体性がなく、それゆえに合わせるのは得意だが、空気を読むのは苦手。
精神的な理由で外の食べ物が食べられず、家に一人でいることが多いことため、料理が得意だったりする。

ヒロインは勝気な幼馴染、初恋の先輩、純情一途なお嬢様、おしかけ小悪魔妹、ボクっ娘先輩。
あと設定的にあと二人は追加ヒロインが登場すると思われる。
一番のお気に入りは由緒ある家柄のお嬢様、小鳥遊胡桃。
ふわふわしたウェーブがかかった髪、目尻の垂れた甘ったるい瞳、その下で存在を主張している泣きぼくろ。
と、お姫様のような印象を受ける上品な少女で、身体の弱さを理由に学校を休みがちなことから
レア度の高い美少女としてクラスの男子の間では有名。なお、着やせするタイプの模様。
純情で照れ屋、おどおどしたところこそあるものの、芯の強い性格をしており、その一方で腹黒なところも。
五年前、主人公に話しかけられたことを切欠に彼にひたむきな好意を抱き続けている。

現時点(二巻)においての評価はC。
自分に好意を持つ美少女たちに囲まれての生活、と一見すると贅沢な環境で進行する当作品ですが
下手すれば世界消滅、ヒロインの愛が重い、肝心のゲームは謎だらけと前途多難すぎである。
おかげで、ラブコメ描写においても気を抜いて読むことができず、全体的に読み味は重め。
キャラにしても、皆何かしら心に秘めているため、癒し系ポジションが存在しませんし…
というかヒロインの一人であるヤンデレの猟奇的行動がマジでかなり怖いんですが(汗)