たまらん! 比嘉智康(MF文庫J)
余命一週間と宣告されたけど、思いっきり誤診だった! からはじまる多角関係青春ラブコメストーリー。
ラノベにおけるラブコメは基本的に主人公が中心であり、他の男はサブカプとして独立しているのが常ですが
この作品の場合は男三人女三人という面子がほぼ平等な立場で多角関係を形成しています。
というか好意の矢印が片想いだらけすぎて、人物相関図がとてもややこしいになっているんですが。
自身も当事者なのに、一人ほぼ相関図を把握している主人公の立場がある意味悲惨すぎである。
複雑になりそうな人間関係とは裏腹に、キャラ同士の掛け合いは軽快で楽しいんですけどねぇ。
主人公は余命一週間を宣告されるも、誤診が判明しこれからも生きることができるようになった少年。
顔の各パーツは控えめで、まるで自己主張をしていない総統薄口な顔立ちをしており
女子からは空気扱いされている。が、その特徴のなさゆえに化粧栄えは抜群で女装が抜群に似合う。
あだ名はたまらん。性格は喜怒哀楽がハッキリとした、思っていることがわかりやすい正直者。
また、感受性の強さからか、驚いた時の反応がやたらと大げさ。
生き延びてからは「何も後回しにしない、やりたいことを全力にすぐさまやる」人間になると誓っている。
ヒロインは無表情な学園のアイドル、二面性を持つ同級生、幼馴染な天才柔道少女。
一番のお気に入りは購買部を切り盛りしている女の子、色鳥いろり。
購買部のほかにも、着ぐるみボランティアサークルに偽名で所属しており、虹色の牛の着ぐるみを着ている。
可愛らしさと綺麗さが半分ずつ同居しているような感じの美少女だが
過去の出来事から、真似をするのもされるのも大嫌いで、それゆえに購買部では無慈悲なぼったくりの悪魔。
サークルでは誰にでも優しい天使と、極端な自分を演じている。
現時点(一巻)においての評価はC。
人間関係は複雑極まりないことになっていますが、幼馴染の面々が凄くいい奴ばかりで気持ちがいいですね。
主人公も、自分をこれ以上ない形で振った女の子や友人のために一生懸命で好感が持てますし
ヒロインたちもそれぞれの恋にひたむきで、思わず応援したくなる魅力があります。
それだけに、どうあっても最終的には誰かが、あるいは誰もが涙を流さないといけないのがツライところ。
しかし本当、どうやって丸く治めるのだろうかこの話。何人かかなり重い恋慕理由持ちなんですが。