魔学の覇王と科法の銃姫 きなこもちづき(MF文庫J)
科学が滅び、魔法が発達した世界を舞台にした新世代の魔法科学バトルアクションラブコメディ。
現代ベースながら、魔法と科学の立ち位置が逆転している世界観が面白い。
ファンタジー世界で魔法道具が電化製品の代用になっている状況とはまた違った味わいがあります。
魔法と科学が入り乱れたバトル描写も中々新鮮で読み応えがありますし。
ラストは主人公の力によって魔学と科法が共存する世界ができたのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの美羽が優勢ながらも決着つかずで終了。
主人公は七歳の折、魔学災害によって両親を失い、それ以降は妹と二人で生活してきた少年。
中肉中背、どこか野生的でガラの悪い雰囲気を放つ濃い眉に鋭い目つきの持ち主で
言動はややぶっきらぼうだが、困っている人を放っておけない善性の性格をしており
また、頑固なところこそあるものの、決して物分りが悪いというわけではない。
ただ、重度のシスコンであることと、お金がかかることから恋愛には興味がなく、鈍感。
一人暮らしが長いため、家事や家計といった主夫能力はかなり高め。
ヒロインはお嬢様な魔学使い、人形めいた科法使い、科学好きな幼馴染。
あと、白福音使いの妹が家族枠でのレギュラーポジション。
一番のお気に入りは主人公に好意を抱き続けるも不憫な立場にいる幼馴染、西山嘉穂。
スレンダーな身体に長い黒髪、整った口、鼻の上にトロンとした大きな目を持つ、優しげな雰囲気の美少女。
常に物腰穏やかで態度も控えめ。そのせいか、親しい相手であっても丁寧語で喋る。
小学四年生の時、ちょっとした事件で助けてもらって以来主人公に心を開き、好意を抱き続けており
アプローチも頑張っているのだが、ストレートさが足りないせいか、結局報われない結果で終わることが多い。
年頃の女の子らしく、オカルト(科学)が好き。
評価はD。
世界観をはじめとした設定の構築がしっかりしているため、物語への入り込みやすさが抜群でした。
主人公は行動理念に一本筋が通っており、その上できちんと話を聞いてから動くタイプ。
ヒロインたちも、己の信念に従いつつも主人公のために融通をきかせる柔軟さがあり
主要登場人物全員の行動がちゃんと納得いく様に描かれていたのもプラス点でしたね。
……が、二巻打ち切り完結という短さゆえか、最終巻では綺麗事を言うだけの役立たず口だけ野郎と化し
なのに最後に都合よく発動した神的パワーで一件落着と爽快感皆無オチにしてしまった主人公。
そして、タイトル通りのダブルヒロイン方式なのに、片方への贔屓ばかりが目立ちすぎだったラブコメ面。
と、キャラの扱いが駆け足展開の犠牲になりまくりだったのが大変残念でした。