隠岐島千景の大いなる野望   須崎正太郎(ダッシュエックス文庫)



やられたらやり返せ! 現代最強のリベンジ・マネーコメディストーリー。
高校生たちの主導によるマネーバトルがメインと、設定そのものはぶっ飛んでいますが
作者さんが銀行員の経験アリということで、金銭関係の描写は地に足が着いたものになっています。
まあ、全体的にはコメディ色やご都合主義が強く、大味な印象がありますが…
ラブコメ面は一巻から主人公がヒロイン三人に好かれ、今後に期待できそうな状況ですが、さて。

主人公は自分と仲間たちに下された退学処分を取り消すために奮闘することになった高校二年生の少年。
かつては御曹司だったのだが、父親の死後財産を奪われ、その後は奨学金で学校に通っている。
普段は押しに弱く、周囲に振り回されてばかりのツッコミ気質な常識人。
しかし、その胸の内には間違っていると思ったことに毅然と立ち向かえる意志の強さと
誰かを救うためならばためらいなく動くことが出来る、優れた行動力と決断力を併せ持っている。

ヒロインはボケ気質な部下少女、商売人志望の同級生、オドオド系金髪巨乳ハーフ娘。
一番のお気に入りは将来主人公の部下となるべく海外に留学していた少女、隠岐島千景。
全体的に幼さを残した外見をしており、寝ぼけ眼と仏頂面が特徴。
即断即決な性格で、能力的には優秀の一言に尽きるのだが、海外育ちのせいか
それとも生来のボケ気質のせいか、ヘンテコな提案を出したり騒動を巻き起こすことが多い。
過去に自分を悲惨な境遇から助け出してくれた主人公に、絶大な忠誠心を抱いている。

現時点(一巻)においての評価はC。
銀行や金融などの経済要素がメインに据えられてはいるものの、堅苦しさはほとんどありません。
目的実現のために行使する手段が暴力や権力ではなく、お金というだけですしね。
話の構図そのものも「理不尽な悪に立ち向かう主人公たち」と王道を行く方向性でしたし
敵との決着も、相手をきちんと完全敗北させる形で終わっていたので爽快感もバッチリ。
思い切りの良い主人公と有能かつ個性的な仲間たちが上手く噛み合ったマネーチームも
目的のために一丸となりつつも和気藹々とした雰囲気が見ていて楽しそうでした。
本筋は一巻でとりあえずの目標は達成されたわけですが、今後は話の規模を大きくしていくのかな?