モノノケグラデーション 持崎湯葉(ダッシュエックス文庫)
少年と少女が織りなすカラフルでちょっぴり切ないモノノケ青春グラフィティストーリー。
大枠としては退魔バトルものになると思われますが、戦闘描写そのものは少なめでシリアス度も低め。
仕事として戦う役目を持っているのはヒロインのほうですし、基本的に主人公はサポートポジション?
むしろ主体になっているのは、軽めの日常的なやり取りとキャラの掘り下げを重視した青春人間ドラマですね。
ラブコメ面はメインヒロインの小百合が優勢気味ながらも、まだまだこれからといった感じ。
主人公は人間の本質が「色」で見える高校生の少年。
自他共に認めるシスコン(妹もブラコン)であり、大体の行動基準に妹が関わっている。
ノリのいい性格で、ボケもツッコミもこなせる上、変人相手でも気後れしないなど、コミュ力は高め。
六年前、立てこもり事件で人質になるという経験を持っており、それがトラウマに。
また、それ以来、妹を傷つけないようにするために、危険なことには首を突っ込まないようにしている。
が、イザとなると危機に陥っている人を助けるために動くことを厭わなかったりと性根は無鉄砲で熱血。
ヒロインは天然系天才魔術師、子犬系教師、栗毛少女。
あと、ヒロイン枠ではないが、最強空手少女妹やチビっ子研究者なども。
一番のお気に入りは白衣の化学教師にして幼なじみのお姉さん、白坂詩衣。
温厚で感情が顔に出やすく、疑うことを知らない、庇護欲をそそる性格と百五十中程と低めの身長。
そして、目がクリッとした子犬のような可愛らしさの持ち主だが、実年齢は二十三歳。
それに加え、顔や身長に似つかわしくない巨乳であることから、男子人気は高い。
ただ、当の本人は嫉妬からくる焦りを隠せないレベルの好意を主人公に抱いていたりする。
昔からの付き合いとはいえ、歳の差含めそれでいいのか教師。
現時点(二巻)においての評価はC。
白身魚さんの挿絵とマッチした、優しい雰囲気を感じる作品です。
悪人が出てきたり、少し暗い話があったりもしますが、後味の悪さはないですしね。
キャラに関しては、主人公は一見掴みどころがないように見えて、他人思いのいい奴なのは確かですし
ヒロインを含めた女性陣はそれぞれ嫌味のない、華のある可愛らしさが魅力的なのがグッド。
とにかく、全体的にフラストレーションがたまりにくい文章になっているのが良い感じ。
難点をあげるなら、ギャグのほとんどが空回りしていて滑り気味なところでしょうか。
タイトルの割にモノノケ要素が薄いという点は二巻である程度解消されていたのですが…