クロニクル・レギオン 丈月城(ダッシュエックス文庫)
幻想と歴史がクロスするファンタジー覇道戦記。
現代世界をベースにしつつも、ファンタジー要素がかなり比重を占めている世界観になっています。
個人が兵を召喚して集団戦を行うという特徴的な戦闘形式は正にアイデアの勝利ですね。
ただ、設定や薀蓄がかなり多いため、読み込むのにやや苦労するのが難点でしょうか。
私の場合は歴史が好きなので楽しめましたが、この辺は少々読む人を選ぶかも?
ラストは国内の敵対勢力を退け、そして前途多難だけれど明るい未来へ向かって彼らは進み始めるエンド。
ラブコメ的には三人のヒロインと結ばれて終了。書類上の妻は一人で他二人は愛人的扱いで決着の模様。
主人公は古の武人の生まれ変わりとして戦争に臨む少年。
常に無表情で、態度も冷静沈着でマイペース。物腰と口調もやや堅苦しく、堅物な雰囲気が強い。
しかし、雰囲気に反し、女好きであったり平然と異性に口説き文句を発したりと、内面は結構軟派。
また、協調性と感受性に難があり、そのため、顔は二枚目なのだが周囲からは残念イケメン扱いされている。
車の運転でついスピードを出しすぎてしまう悪癖持ち。
ヒロインは清濁聡明な皇女、勇猛果敢な騎士姫、天真爛漫な妹分。サブにロリババア精霊。
一番のお気に入りは天下取りを目指す白金髪の皇女、藤宮志緒理。
大多数の人間の前では上品優雅なおっとりお姫様だが、その姿は得意の猫かぶりによるものであり
素顔は狡猾で悪知恵が働く野心家にして、人をからかって面白がるじゃじゃ馬娘。
更に、まっすぐな清冽さが悪辣な聡明さと矛盾なく両立しており、人の上に立つ者としての資質に優れている。
能力的には文字通りの才色兼備。しかし運動だけは走ろうとしただけで転ぶレベルで不得意。
あと、色恋には不慣れで、攻められると弱かったりする。ちなみに、バストカップはF(推定)
評価はB。
巨人を兵として召喚しての戦争、という今までの異能バトルや戦記にはなかった要素が独創的で面白かったです。
蘇った過去の英雄たちによる世界の覇権争いという、話のスケールの大きさもワクワクできましたし。
また、戦争描写もある程度のルールやシステムが構築されているので状況がわかりやすいのがよかったですね。
キャラに関しては、危機的状況でもマイペースさと底知れなさを保つ主人公が頼もしくて良い感じでした。
ヒロインたちも皆それぞれのスタンスで地に足がついており、その上で年頃の乙女らしい魅力を備えていましたし
更には、倒すべき敵たちも単なるやられ役におさまらない確固たる存在感を放っているのがグッド。
本筋は日本奪還という当初の目的を成し遂げての完結と、話としては綺麗に纏まっていた印象。
ただ、世界を股にかけて主人公やヒロインたちが過去の偉人たちと交流&バトル! を期待していた身としては
結局舞台は日本国内から動きませんでしたし、敵も二国(+国内敵対派閥)のみと少々拍子抜けだった感も。
敵キャラも全員が明確な悪人ではなかったので、勝利時の爽快感もそれほど高くはなかったですしね…