はてな☆イリュージョンR 松智洋(ダッシュエックス文庫)
奇術師に憧れる少年と、怪盗な幼馴染の少女のイリュージョンラブコメ。
一つ屋根の下でのラブコメと怪盗アクションの二本柱構成の作品ですね。
そこにファンタジーやホームドラマなどの要素が上手く加わって優しい世界観を作り出しています。
一応殺伐展開にいきかねないシリアス事情もあるようですが、それが表に出てくることはほとんどありません。
ラストは本当の意味での相棒を手に入れ、僕たちのイリュージョンは始まったばかりだエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの星里果菜と結ばれて終了。
主人公は奇術師に憧れ、上京を果たし執事見習いとして働くことになった中学一年生の少年。
不正を嫌う正義感の強さと、「一度決めたら貫き通す」の信条通り、真面目で一途な性格の持ち主。
また、妹がいることから小さい子の扱いが得意で、面倒見も良い。そして、かなりの努力家でもある。
これらのことから、年齢の割には出来がいいと評しても問題のないスペックを有しているのだが
結構粗忽なところが目立ったりと、若年相応の部分も持ち合わせている。
細かい仕事をはじめるとすぐに熱中してしまうタイプ。
ヒロインは怪盗な幼馴染、男装の姉弟子。
あと、サブ扱いで、引きこもりな金髪妹分、オタ趣味なメイドさん、唯我独尊なお嬢様なども。
特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
評価はC。
主役コンビが中学一年生ということで、良い意味での初々しさと青臭さがありました。
未熟さは若年ゆえの愛嬌で流せますし、頑張っている姿は素直に応援したくなる魅力十分。
怪盗パートは、超常アイテムが出てきたりとファンタジー色が濃いこともあり、エンターテイメント性重視。
ラブコメパートは年齢相応の甘酸っぱさがニヤニヤできる、と全体的にライト感が強いのもグッド。
あと、なんといってもエロさと可愛さが同居した挿絵は流石「ToLOVEる」の矢吹健太朗さんといったところw
本筋はタイトルと執筆者を変更し「はてな☆イリュージョン(全四巻)」の続編として再スタート。
終わり方自体は打ち切りエンドっぽかったですが、やるべきことはやった感があるので読後感は上々。
未熟で、しかし自分の心に真っ直ぐな少年少女の成長がしっかり描かれたうえでの大団円でした。
まあ、アーティファクト関連はまだまだ掘り下げる余地がありそうでしたが、こっちに振れ過ぎるとシリアス色が
濃くなり過ぎそうでしたしね。実際、最終巻で主人公は世界の命運を背負い込んだようですし。
あと、個人的に残念だったのは最初から最後までラブコメ面において星里果菜の一強状態だった点。
他ヒロインが噛ませ犬にすらなれない盤石っぷりで、これなら他ヒロインいらなかったのでは…?