いでおろーぐ! 椎田十三(電撃文庫)
全ての恋愛は幻想である!? なリア充爆発アンチラブコメディストーリー。
主要キャラたちは真剣にリア充や恋愛をアンチしてますが、客観的に見て、やっていることはラブコメです。
ただ、実のない会話をしながらイベント発生を受身で待つばかりというよくあるパターンを踏襲せず
面々が掲げた目的に向かって積極的に活動に勤しむという点は特殊部活動ものとしては結構珍しい方向性かと。
なお、作中には神っぽい存在が登場しますが、ファンタジーが本筋に強く介入することはありません。
ラストは学校を牛耳らんとする生徒会に勝利し、そして俺たちの戦いは続いていくエンド。
ラブコメ的には明確な進展こそないものの、メインヒロインの領家薫と「お前らさっさと付き合えよ」状態で終了。
主人公は「リア充爆発しろ!」の想いを胸に、反恋愛主義青年同盟部に入部した少年。
コミュ力の低さから友達は少なく、クラスでは目立たないポジションにいる。
面倒臭いことを好まず、リア充を羨みつつも否定するという捻くれた性格をしているが
イザという時の行動力と口八丁、実務能力はかなり優秀で、寛容さも人並みはずれている。
一旦ひとつの事にのめり込むとそれに熱中しすぎてしまう性質持ち。
ヒロインは反恋愛主義な扇動少女。サブに女の子好きな同級生、男子人気の高い先輩、腹黒な後輩。
一番のお気に入りは男子生徒の女神と崇められている先輩、神明茜。
人付き合いが苦手なところこそあるものの、可愛い系の容姿と豊満な胸部、気遣いの出来る心優しい性格。
そして笑顔を絶やさない柔らかな雰囲気から、男子からの人気は圧倒的。
しかし、その心の内には男子の生々しい欲望や女子のやっかみに対する暗い感情と
それでも微笑むことができるだけの強さが隠されている。趣味は乗り鉄、そして温泉好き。
評価はC。
ネタのインパクトは凄いですが、実質的には学園青春ラブコメの色が濃く、ノリも軽め。でも勢いは凄い。
こういう真剣にバカなことに取り組んでいくタイプの話は個人的に大好物です。
まあ、ヒロインのアンチ演説に同調することができないリア充読者には楽しめないかもですがw
キャラに関しては、ヒロインの薫がいささかチョロいというか、簡単に心を開きすぎなところが気になるかも。
主人公がそれほど魅力的なキャラではないので、イマイチ関係進展に対する説得力がなかったんですよね。
サブキャラを含めたキャラの濃さが、ある程度はご都合主義の違和感を上手く中和していたとは思うのですが…
本筋は最初から最後まで反恋愛を貫き通し、しかし客観的にはラブコメをやっている主人公たち。
という自己矛盾に白黒つけないまま終わったのがこの作品らしさに溢れていて印象深かったですね。
しかしこいつら、高校卒業したらどうするんだろうか…